2010年1月6日水曜日

NAFTA、EUといった既存の地域統合の効果に関する実証分析の結果について整理

2.地域統合の理論面・実証面からの分析

 FTA/EPA(注225)は地域統合の一形態であることから(注226)、その理論・実証面の分析は一般に地域統合の経済分析の枠組みを基礎として展開されてきている(注227)。本節では、1)地域統合の理論的枠組み、及び2)NAFTA、EUといった既存の地域統合の効果に関する実証分析の結果について整理することを目的としている。これまで、FTAの経済理論については、伝統的な関税撤廃効果(静態的効果)、生産性向上と資本蓄積による経済成長への影響(動態的効果)、あるいは政治経済的理論を中心に発展してきている。実証分析については、一般均衡モデルを用いたFTA締結のシミュレーションや、FTAの効果に関する事後評価が多数実施されている。なお、EPAには投資、競争、人の移動、環境、労働等といった新分野のルール(「WTOプラス」のルール)が含まれているため、その最終的な経済効果は以下で述べる伝統的なFTAの効果のみにとどまるものではないことに留意する必要がある。

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