2010年1月6日水曜日

経済規模と約束分野数の間に相関関係があることがわかる

コラム11

【サービス貿易交渉における新しい交渉方式案】

 サービス貿易については、GATS第19条において、WTO協定発効から5年以内に、漸進的に一層高い水準の自由化を達成するために引き続き交渉を開始すると定められていることを受けて、2000年から交渉がスタートしている。各国の置かれた経済環境、経済水準が異なるため、一層のサービス自由化のためには、こうした要素を考慮しつつ交渉を進めることが求められている。そこで、昨年12月にWTO事務局に対して提出した「サービス交渉に関する日本提案」の中では、加盟国の経済規模や経済成長を踏まえて、自由化を約束すべき分野の数を拡大する方式について各加盟国が合意を目指すことを検討している旨指摘した。
 第4―2―10図 は、各国の経済規模と約束分野数をプロットしたものである。この図から明らかなように、経済規模と約束分野数の間に相関関係があることがわかる。この関係をベースに、各国の約束数の拡大を図ることが考えられないか検討している。具体的には、例えば、経済規模と約束分野数の相関関係を前提にすると、加盟国の経済規模が拡大した場合には、約束数を増加させることが可能と言えないか、あるいは第4―2―10図 の回帰線は経済規模を考慮した加盟国の平均約束分野数を示しており、この回帰線の下に位置する国は、加盟国の平均からみて相対的に約束分野数が少ないとも考えられるので、こうした国が各々の市場の自由化に向けて一層の努力が必要と言えないか等について検討を進めている。これまでの関税交渉等においては、交渉相手国に対する要求リスト及び自国からの譲許リストを提出し、両国の譲歩の度合いがバランスするように二国間で交渉するというリクエスト・オファー方式よる交渉が行われてきた。この新しい交渉方式案は、これを補完するアプローチと考えている。

第4―2―10図 1人当たりGNPとサービス貿易交渉における約束分野数

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