2010年1月5日火曜日

上位6業種に投資が集中

(1) 我が国における対内直接投資の現状

 世界的に増加している国境を越えた合併・買収(クロスボーダーM&A)の流れを受け、1990年代後半以降我が国に対する対内直接投資も急激に拡大しており、1998年度に1兆円の大台(1兆3,404億円)を、1999年度には2兆円の大台(2兆3,993億円)を初めて超えた(報告・届出ベース)。2000年度上半期(4-9月)も、半期としては過去最高の1兆8,901億円に達しており、このような勢いは今後も続くものと思われる(第4―1―10図 )(注125)。業種別の投資受入額を見ると、製造業では「機械」(含む輸送機器)、非製造業では近年急ピッチで規制改革が進展している「金融」、「通信」が牽引役となっており、1994年以降は一貫して非製造業における投資金額が製造業の額を上回っている。1999年度以降の大型直接投資案件としては、製造業ではルノーの日産への資本参加、GMの富士重工業買収、非製造業では仏大手保険会社アクサによる日本団体生命保険への出資、ニュー・LTCB・パートナーズによる日本長期信用銀行買収、ボーダフォン・グループによる日本テレコムへの資本参加等が挙げられる(注126)。
 対日直接投資の累積額(1990-2000年度上期)をより詳細な産業分野ごとに見てみると、「金融・保険業」から「化学」までの上位6業種への投資が全体の投資額の9割以上(91.4%)を占めており、残りの下位11業種に対する投資額は全体のわずか1割未満にすぎないことがわかる(第4―1―11図 )。このように上位6業種に投資が集中していることの背景としては、1)金融・保険、及び通信分野等における規制緩和の進展に伴う投資、2)自動車産業等の世界的業界再編に伴う投資、3)化学、医薬品分野等における規模のメリットによる体力強化を狙った投資等が増えていることが挙げられる。

第4―1―10図 我が国の業種別対内直接投資の推移
第4―1―11図 業種別対内直接投資の累積額

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