2010年1月5日火曜日

毎年、日本の国土の約3分の1に相当する約1,100万ヘクタールの森林が減少

3.森林減少に関する問題

(1) 森林減少の現状とその要因

1)森林減少の現状
 世界の森林の状況について、国際的に懸念が高まっている。開発途上地域を中心に依然として続いている森林の減少・劣化(注52)は、森林が分布する国や地域での問題のみならず、生物多様性の減少、世界的な気候変動(温暖化)、砂漠化の進行等の世界的な問題を引き起こす場合も考え得ることから、世界の森林状況について国際的な問題として懸念が高まっているのである。そのような国際的な公共財でもある森林減少の状況についてデータで見てみると、世界の森林面積は約35億ヘクタールであるが、毎年、日本の国土の約3分の1に相当する約1,100万ヘクタールの森林が減少している(第3─2─10表)。

2)森林減少の背景及び要因
 国際貿易がこのような森林減少の大きな要因となっていると指摘されることが多いが、実際に森林減少と貿易との関係を特定することは難しい。林産物の貿易動向(金額ベース)を見てみると、第3─2─11図のとおりである。一方、生産量と貿易量との関係については、世界の木材(丸太)生産量が年間約34億立方メートルであるのに対して、そのうち貿易の対象となっているものは約5億立方メートルと生産量全体の約1割強であることから(注53)、国際貿易だけが森林減少の大きな要因であるとは必ずしも言えない。
 世界の森林は熱帯林を中心に減少・劣化の傾向にあるが、その原因については、地域により様々であり、複合的である場合が多い。人口増加、貧困、土地利用計画・制度の不備、不適切な商業伐採、過放牧、過度の薪炭材採取、山火事等の様々な要因が挙げられ、特定のものに限定することはできない。
 森林減少の要因に関しては、実証的な検証の試みも行われているが、必ずしも十分な検証に成功しているとは言えない。そのような実証研究の中で、 Amelung and Diehl(1992)の調査においては、焼き畑等の農業分野がすべての熱帯林諸国における森林減少の要因の約90%という最大のシェアを占めている一方、林業関連活動による直接の影響は10%以下でしかなく、影響要因としては最も小さいとされている(第3─2─12表)(注54)。この結果だけをもって、輸出向けの商業伐採を含めた林業が熱帯林の減少に対してほとんど影響を及ぼしていないとは言えないが、国際貿易だけが森林減少の主たる要因ではなく、むしろ焼き畑等の農業開発が森林減少の大きな要因の1つであることを表している実証研究の1つと言えよう。また、森林減少には、途上国における人口の増加や貧困問題さらには慣習的共有地の問題や土地の所有権問題が複雑に絡み合っている。したがって、問題解決のためには貿易政策や森林政策、農業政策、土地開発政策等を含め、森林減少の背景にある様々な要因に対する包括的な対応が求められている。

第3―2―10表 世界の森林面積の年間増減
第3―2―11図 地域別林産物輸出額の推移
第3―2―12表 熱帯国の森林減少の原因

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