2010年1月31日日曜日

2008年6月、東京・秋葉原で7人が死亡  アキバは恐ろしい

秋葉原のメイド喫茶店員「客の数減った」

 2008年6月、東京・秋葉原で7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、殺人などの罪に問われた元派遣社員・加藤智大被告(27)の初公判が28日、東京地裁(村山浩昭裁判長)で行われた。被告は「わたしがしたことに間違いありません」と起訴内容を認め、被害者に謝罪。

 惨劇の記憶が薄れるなか、事件現場となった秋葉原では26日に事件後初めて16台の防犯カメラが設置された。3月末には、さらに34台を設置予定。神田末広町会の久保勝会長(72)は「事件以来、秋葉原は日本一怖い街というイメージがある。安心、安全のため、取り組んでいきたい」と意欲的だ。

 事件の約15分前、現在は中止状態の歩行者天国を通った80代女性は「くだらないことする人がいたもんだ。怖くて表に出づらくなった」。アキバ名物、メイドカフェの女性店員(17)は「お客さんの数はだいぶ減った。いきなり腕をつかまれて連れて行かれそうになることも多くて、アキバは恐ろしい」と話した。

【関連ニュース】

* アキバに新名所「うさぎ神社」…8日・惨劇から1年 写真付き
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(2010年1月29日06時02分 スポーツ報知)

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外国人窃盗グループ「爆窃団」の犯行に似ている   ロレックスなど高級腕時計約200点、約2億4500万円相当

男3人は関空から出国か…銀座の貴金属店強盗

 東京・銀座の貴金属店「天賞堂」で高級腕時計が盗まれた事件で、被害品を処分したとして香港警察に逮捕された香港人の男3人が、事件後に大阪へ移動して関西国際空港から出国した疑いがあることが29日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁捜査3課は、3人の事件への関与を裏付けるため、2月2日に捜査員3人を香港に派遣。警察庁の担当者も同行し、3日間の予定で、香港警察と捜査情報を交換する。また、日本と香港の間に犯罪人引渡条約が結ばれていないため、今後、香港で代理処罰を要請することも検討する。

 捜査関係者によると、3人は昨年12月中旬に成田空港から入国し、事件後の今月4日に関空から出国した、と香港警察から伝えられた。4日の出国前に大阪府内の郵便局から腕時計を香港に発送したとみられ、捜査3課が裏付けを進めている。

 事件は今月2日、ビル1階の壁に穴が開けられ、地下1階時計売り場内でロレックスなど高級腕時計約200点、約2億4500万円相当が盗まれているのを従業員が発見した。手口が、外国人窃盗グループ「爆窃団」の犯行に似ていることが判明している。

【関連ニュース】

* 関空のレストランで食中毒

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(2010年1月29日14時33分 スポーツ報知)

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芸能バトル 二極化が進みそう

タレント


ゲンダイネット
芸能バトル 二極化が進みそう… (ゲンダイネット)

記 者 この不況で芸能界で勝ち組、負け組の二極化が進んでます。

デスク 何だそりゃ?

記 者 好調な大手プロに所属したがるタレントが増えているんです。

デスク そうなのか。

記 者 今年の元日、池上季実子が、上戸彩らの所属するオスカープロモーションに移籍したのが象徴的でした。

デスク そういやそうだったね。

記 者 オスカーには今井雅之、草笛光子らベテランが次々に移籍しています。

デスク タレントも“寄らば大樹の陰”の時代なのかね。

記 者 小規模な事務所と大手ではマネジメント能力の差が歴然としているとか。

デスク どういうこと?

記 者 往年の人気歌手や人気俳優には“芸能界歴数十年”のベテランマネジャーが付き添っていることが多いんです。

デスク そうかもね。

記 者 昔気質のベテランマネジャーは顔が広く、たくさんコネクションも持っていますが、弱点もあります。

デスク 何だよ?

記 者 ITが苦手なことです。

デスク それは仕方ないと思うけど。

記 者 そうも言ってられない事情があります。

デスク どうして?

記 者 最近、テレビ局もホームページ経由で仕事をオファーするケースが増えているし、連絡はメールが主流です。

デスク それくらいはできるんじゃないの?

記 者 タレント1人とマネジャーの個人事務所だと、忙しくて終始パソコンをチェックしているわけにいきません。

デスク おまけにITが苦手だと、オファーがあっても対応が遅れちゃうな。

記 者 また、規模が小さいと、プロモーション面でも不利です。

デスク なるほどね。

記 者 トレンドに従って、スポーツ選手や文化人も大手プロにマネジメントを任せる傾向にあります。

デスク そうなの?

記 者 日本ハムのダルビッシュ有はエイベックスの所属ですし、元サッカー日本代表監督のフィリップ・トルシエは吉川ひなのの事務所にいます。

デスク へ~。

記 者 押切もえの所属プロは総合格闘技でデビューした石井慧をサポートしています。

デスク 個人で踏みとどまっているベテランには頑張ってもらいたいね。

記 者 芸能界の格差社会は深刻です。

(日刊ゲンダイ2010年1月23日掲載)

[ 2010年1月26日10時00分 ]


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インド東部で鳥インフルエンザ

2010.01.27 Web posted at: 19:15 JST Updated - CNN
サイエンス
インド東部で鳥インフルエンザ、家きん類10万羽以上を殺処分
ニューデリー(CNN) インド東部西ベンガル州の保健省は26日、同州のムルシダバード県で鳥インフルエンザの感染が確認されたとして、家きん類など10万羽以上を殺処分したと発表した。


人間への感染は今のところ報告されていない。


インドでは2008年11月から09年5月にかけ、バングラデシュとの国境に近い西ベンガル州とアッサム州、シッキム州で鳥インフルエンザ被害が広がった。その後、家きん類や卵の処分を継続的に行い、昨年10月に終息宣言を出していた。


kotobank 用語解説鳥インフルエンザ

中国のグーグル検索に「天安門事件」登場、オフィスは厳戒


2010.01.14 Web posted at: 10:58 JST Updated - CNN
ビジネス
中国のグーグル検索に「天安門事件」登場、オフィスは厳戒

「中国でのネット検閲はもう続けない」と宣言した検索大手のグーグル北京(CNN) 「ネットの検閲はもう続けない」と宣言した米検索大手のグーグルが13日、中国の検索サイト「Google.cn」に天安門事件やダライラマ、法輪功など従来は出て来なかった検索結果を表示するようになった。


これまでは同サイトで「天安門」を検索しても、天安門の写真が出てくるだけだったが、13日以降は1989年の天安門事件について解説したサイトへのリンクが表示されるようになった。ただし部分的に検閲された状態と検閲されていない状態が入れ替わるなど、不安定な表示が続いている。


グーグルは同日、中国でサイバー攻撃の被害に遭い、何者かが人権活動家の電子メールに不正アクセスしようとした痕跡があると発表し、「検索の検閲をこれ以上続けるつもりはない」と言明。今後の成り行きによってはGoogle.cnのサイト閉鎖や同社の中国からの撤退もあり得ると表明した。


ただし今回のサイバー攻撃について中国政府の関与を直接明言したわけではなく、検閲なしの検索サイト運営の可能性について当局と話し合うとしている。


北京にあるグーグル中国法人のオフィスでは、この発表から間もなく従業員に有給休暇が出されたと伝えられ、いつになく厳重な警備が敷かれた。米カリフォルニア州の本社が運営する社内のシステムなどにもアクセスできなくなっているという。


オフィス前にはグーグルのユーザーやファンが集まって言論の自由を守る姿勢に支持を表明。同社には大量の花がひっきりなし届けられており、現地のブログはこれについて、グーグルの中国撤退を見越して哀悼の意を表するものだと伝えている。


グーグルは2006年に中国で検索サイトを立ち上げたが、現地の大手バイドゥ(百度)に阻まれてシェアは伸び悩んでいた。中国インターネット・ネットワーク情報センターの09年9月の統計によると、ネット検索市場のシェアは百度が77%、グーグルが13%となっている。しかし3億人以上がインターネットを利用し、広告市場の急拡大も見込まれる同国から撤退すれば、グーグルにとっては大きな痛手となる。



kotobank 用語解説天安門事件 Google

鉄道敷設や駅、トンネルなどの施設建設・増築により雇用拡大

2010.01.28 Web posted at: 21:30 JST Updated - CNN
ビジネス
全米で高速鉄道を整備、31州に7千億円余を拠出 米政府

米国が目指すべき先例として挙げている韓国の高速鉄道ワシントン(CNN) オバマ米大統領は27日の一般教書演説で、米国の主要都市を結ぶ高速鉄道網の整備に80億ドル(約7200億円)を拠出する計画に言及、ホワイトハウスが28日に計画の具体的内容を公表した。


ホワイトハウスによると、米政府の景気対策関連予算から80億ドルを拠出し、31州で高速鉄道建設プロジェクトを実施。鉄道敷設や駅、トンネルなどの施設建設・増築により雇用拡大を見込む。完成は2014年を目指す。


28日にはオバマ大統領とバイデン副大統領がフロリダ州タンパを訪れて計画を正式発表。州内のタンパとオーランドを結ぶ列車は最大時速270キロで1日16往復を運行、車で1時間半かかるところを、1時間に短縮できるという。


高速鉄道網の計画はオバマ大統領が2008年の大統領選から打ち出していたもので、日本やフランスなどの新幹線先進国は事業受注を狙って盛んなPR合戦を既に演じている。
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ビジネス
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2010年1月30日土曜日

今年10月の運用開始を目指す羽田空港の4本目の滑走路(2500メートル)建設工事で桟橋部に最後となる巨大鉄骨構造物が27日未明、設置


羽田の巨大桟橋、全容現す
1月27日(水) 08時48分配信



 今年10月の運用開始を目指す羽田空港の4本目の滑走路(2500メートル)建設工事で桟橋部に最後となる巨大鉄骨構造物が27日未明、設置された。新滑走路は、空港の南沖に建設され、滑走路の土台となる部分は全長約3120m。このうち約1100mは多摩川の水流を変えないよう高床式の桟橋構造を採用、残り約2020mは埋め立て、土台の上にアスファルトで舗装し滑走路をつくる。

共同通信
今日の主要なニュース
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トヨタ、700万台超改修10時37分配信
日本企業のM&A投資4割減09時58分配信
陸自の活動、国連は首都打診09時12分配信

2010年1月29日金曜日

TBS系ドラマ「JIN-仁-」の映画化が取りざたされている。今年夏のクランクイン、来年公開でほぼ

映画


fuji
【業界インサイド】キムタクのせい?「JIN」映画版、来年まで見られない事情 (夕刊フジ)
記事写真
写真1
 大沢たかお(写真提供 産経新聞社)

 昨年12月、最終回に25.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)の高視聴率を記録したTBS系ドラマ「JIN-仁-」の映画化が取りざたされている。今年夏のクランクイン、来年公開でほぼ固まったようだが、何でそんなに待たされるのか。

 幕末にタイムスリップした大沢たかお(41)演じる脳外科医が、満足な医療器具のない中で、江戸の町衆に助けられながら人々を救うSFヒューマンドラマは、昨年12月度のギャラクシー賞月間賞を受賞。原作の漫画が再び見直されるなどブームを呼んだ。

 とくに最終回が謎を残した“消化不良”の状態だったため、番組終了直後から、映画化やスペシャル番組を問い合わせる声が殺到。TBSの番組宣伝担当者は当初、「映画や続編があると週刊誌などで煽られて本当に迷惑している。ドラマで完結です」と断言していたが、水面下では“ドル箱”の可能性を秘めた映画化の話を着々と進めていた。

 一方で、今年スタートしたNHK大河ドラマ「龍馬伝」(総合テレビ、日曜午後8時)で福山雅治(40)が演じる龍馬の人気が急上昇中。「仁」の制作サイドとしては内野聖陽(41)が好演したアクの強い龍馬像が薄れないうちに映画化したいところだが、そうはいかない理由が2つある。

 ひとつは、キャスティング。大沢、内野をはじめ、中谷美紀(34)、綾瀬はるか(24)といったオリジナルキャストを3カ月から半年は拘束することになる。「いずれもドラマ、映画に欠かせない人気者。すぐにスケジュールを確保するのが難しいため足並みが揃う夏以降のクランクインになった」(中堅プロダクション幹部)

 もうひとつは、社内事情。

 「TBSとしては5年がかりで映画化を準備してきた実写版の宇宙戦艦ヤマト『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の公開が12月に控える。まずは、そちらを成功させることが社命なのです」(ライバル映画配給会社のスタッフ)

 古代進を木村拓哉(36)、沢尻エリカ(23)が一時は内定していた森雪を黒木メイサ(21)が演じる。過去より、未来へのタイムスリップが先というわけか-。


[ 2010年1月29日17時00分 ]


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客席はガラガラだったが、客室乗務員(CA)は満面の笑顔で

破産


fuji
JAL機内は“奇妙”な明るさ…夕刊フジ記者が搭乗ルポ (夕刊フジ)
記事写真
写真1
 破綻を伝えるニュースが流れるなか、CAは笑顔でサービスを続けた=19日夕、日航機内(写真提供 産経新聞社)

 日本航空が会社更生法の適用を東京地裁に申請した直後の19日夕、夕刊フジ記者は羽田発の日航機に搭乗した。客席はガラガラだったが、客室乗務員(CA)は満面の笑顔で乗客に接し、機内は奇妙なほど明るい雰囲気に包まれていた。

 

 19日夕刻の羽田空港第1ターミナル。脚立とカメラを抱えたマスコミ各社のカメラマンの間を縫って、西日本の地方都市に向かう便の搭乗口へ急いだ。午後6時すぎ、機内に通されると満面の笑みでCAたちが出迎えてくれた。後ろの席のご婦人にCAが「手作りのかばんですか? かわいいですねぇ」と気さくに話しかけるなど、機内は破綻直後とは思えない不思議な明るさだ。

 定刻通り羽田を離陸し、ベルト着用サインが消えた直後、「客室責任者の○○です。本日、日本航空は企業再生支援機構のご支援が決定しました」とCAによる異例のアナウンスが始まった。

 「一連の動きで、ご心配をおかけしましたことをおわび申し上げます」と謝罪。「運航は継続します。航空券、予約、JALカードなどすべて今まで通りです」と説明したものの、紙くずとなる日航株への言及は最後までなかった。

 続いて操縦席から機長が「高度3万2000フィートで順調に航行しております。先ほどもご説明した通り、会社更生法の適用を申請しましたが、運航には支障ございません」とアナウンス。会社の前途と飛行機の運航には関係がないことを強調した。

 機内のモニターには同日午後に録画されたNHKニュースが流れている。内容はもちろん日航ネタだが、座席はガラガラで見ている乗客もまばら。全290席の機内で埋まっているのは100席以下だ。平日夕方の地方路線に、こんな大きな飛行機を飛ばしていたら破綻もやむなしか…。日航の高コスト体質を実感する光景だった。

 CAも暇を持て余していたのか、あっという間に飲み物を配り終えた後、2杯もおかわりをくれた。どうもごちそうさまでした。


[ 2010年1月20日17時00分 ]


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最高価格の10億円住戸を含め、売り出した309戸が年内に完売

マンション


ゲンダイネット
完売した億ション なぜか“新規分譲中”の不思議 (ゲンダイネット)

 数年前に完売したはずのマンションが“新築分譲”されるケースが増えているそうだ。一体どういうことなのか?

 業界で注目されているのは、07年から09年にかけて、広尾や神宮前といった都心で売り出された好立地マンション。発売当時は、いわゆる“億ション”にもかかわらず完売して話題になった。

「広尾の物件は売り出し当時、“二度と出ない魅力的な物件”と評判でした。07年1月から販売を開始し、最高価格の10億円住戸を含め、売り出した309戸が年内に完売。業界関係者をうならせたものです」(都内の不動産コンサルタント)

 ところが、この物件の公式HPを見ると、58.75平方メートルの1LDK(8810万円)から197.05平方メートルの3LDK(5億9900万円)まで、29戸が今も販売中になっている。

「完売したはずの物件が販売を継続している場合、キャンセル住戸が発生したことが考えられます。一般的に、分譲マンションは竣工(しゅんこう)前に販売を開始しますが、申し込みから引き渡しまでの間に、経済状況が変わってしまうこともある。例えばJALの社員だって、07年当時は、会社が潰れるなんて思ってもいなかったでしょう。08年以降、日本経済は停滞し、大手企業も軒並み給料ダウン。人生設計が狂って、キャンセルせざるを得なくなった購入希望者が多数いたのではないでしょうか」(不動産情報サービス「東京カンテイ」市場調査部上席主任研究員の中山登志朗氏)

 キャンセルすれば、1割ほどの手付金は戻ってこないが、ローンを支払えない状況になれば、解約するしかない。深刻なデフレ不況は、高級マンションの相次ぐキャンセルを引き起こしているのだ。

(日刊ゲンダイ2010年1月26日掲載)

[ 2010年1月29日10時00分 ]


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簡単に盗み出せるものなんですか

社会ニュース


fuji
ペンギン窃盗 ペットショップ店長逮捕でわかった驚きのお値段 (夕刊フジ)

 長崎県西海市の動植物園からペンギンが盗まれそうになる事件があった。窃盗容疑で逮捕されたのは福岡市のペットショップ店長の男(24)。前代未聞の窃盗事件の概要を同県警西海署に聞いた。

 --ペンギン、ですか

 「事件があったのは27日午後3時半ごろ。男は西海市の動植物園から時価40万円のフンボルトペンギン1匹をキャリーバッグに入れて盗み出そうとしました」

 --高価なんですね

 「珍しい動物ですからね」

 --逮捕のきっかけは

 「動植物園に『ペンギンが盗まれた』との情報が入った。それで園の関係者が署に通報。署員がかけつけ、出口から出ようとしていた男に声をかけたのです」

 --それで

 「男は『飼っていたペンギンを動物園に放すためにきた』などとウソをついていた。しかし、いろいろ追及すると、言うことがどうもおかしい。最終的に盗んだことを認めたので、当日の午後7時ごろに逮捕しました」

 --簡単に盗み出せるものなんですか

 「ペンギンがいる所は、池があって丘があって柵もある。ただ、柵の横から入れるようになっているんです。それにペンギンは身長50センチと小さい。男のカバンは高さ約55センチ、幅約35センチ、奥行き約25センチの大きさ。スッポリ入ったようです」

 --ちなみに動植物園はどんな所ですか

 「前川清の『西海ブルース』ってあるでしょ。長崎ではあれぐらいに有名な所ですよ。ペンギンのほかにラッコ、カバ、ミーアキャット。わりとかわいらしい動物が多い。触れあえるのが魅力ですが、今回はそれが災いしましたね」


[ 2010年1月28日17時00分 ]

2010年1月20日水曜日

果物のマンゴーを使ったかき氷

台湾


jiji
有名かき氷店が突然閉店=日本人観光客に大人気-台湾 (時事通信)

 【台北時事】果物のマンゴーを使ったかき氷で日本人観光客に大人気の有名氷菓店「氷館(アイスモンスター)」(台北市永康街)が営業を停止し、波紋を広げている。地元メディアの報道によると、15日に突然営業を取りやめた。同店は近所の小籠包店「鼎泰豊」と並び、大勢の日本人観光客を引きつけるドル箱的存在で、周辺商業圏の組合は「再開を店長に呼び掛けたい」と話している。

 氷館は1995年にオープンし、マンゴーの果肉をふんだんに使ったかき氷で知名度を上げた。日本のガイドブックに紹介されたことから、日本人観光客に爆発的な人気を呼び、夏の最盛期には行列ができるほどで、「客の8割は日本人だった」(組合関係者)という。

 しかし、店長夫婦が3年前に離婚したことをきっかけに、金銭トラブルが浮上していたといい、これが突然の閉店につながったとみられている。 

[時事通信社]

[ 2010年1月18日18時6分 ]

金元工作員「めぐみさんに会った」

韓国


Yomiuri On-Line
金元工作員「めぐみさんに会った」…韓国月刊誌 (読売新聞)

 【ソウル=竹腰雅彦】韓国の月刊誌「月刊朝鮮」は18日発売の2月号で、大韓航空機爆破事件の実行犯、 金賢姫 ( キムヒョンヒ ) ・元北朝鮮工作員が、2009年3月、訪韓した日本政府関係者に対し、北朝鮮にいた当時、「(拉致被害者の)横田めぐみさんに会った」と証言していたと報じた。

 金元工作員は09年3月11日、日本語を教わった拉致被害者、田口八重子さんの家族と韓国の釜山で面会。同誌によると、金元工作員は面会後、日本政府の拉致問題調査チームの聞き取りに応じ、めぐみさんに関連した当時の状況を詳細に説明したが、日韓関係者の間では、内容は秘密扱いになっているとしている。

 金元工作員は、同誌が09年2月号に掲載したインタビュー記事では、「(めぐみさんが写った)写真を見たことはあるが、会ったことはない」と述べている。

 金元工作員は、田口さんの家族と面会後の記者会見で、めぐみさんについて、「同僚の工作員、 金淑姫 ( キムスクヒ ) に日本語を教えていた。(同僚から)話をたくさん聞いた」と証言。「少し精神的に病んで入院したことがあったが、それほど深刻でないと聞いた。死亡したとは信じられない」と述べていた。

[ 2010年1月19日19時59分 ]
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今の曲本当によかったんだけど、誰の曲なの?




17歳の頃、カバー曲を歌いながら路上ライブをしていたんですけど、ぜんぜん人が止まってくれなくて、「やっぱりだめなんだな、俺」と思ってたんです。でも初めて自作の曲を歌ってみたら、両手に買物袋をもったおば様が立ち止まって最後まで聞いてくれました。「今の曲本当によかったんだけど、誰の曲なの?」って聞かれて、嬉しかったなぁー!それがきっかけで、3歳から続けていた水泳をやめてミュージシャンを目指すようになったんです。

“心を揺さぶる”アーティスト、小松優一さんのオススメ

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ニューストップ > 第25回 “心を揺さぶる”アーティスト、小松優一さんのオススメ!ニュースクリッピング
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“心を揺さぶる”アーティスト、小松優一さんのオススメ!ニュースクリッピング
路上ライブ、初めて立ち止まってくれたのは――

17歳の頃、カバー曲を歌いながら路上ライブをしていたんですけど、ぜんぜん人が止まってくれなくて、「やっぱりだめなんだな、俺」と思ってたんです。でも初めて自作の曲を歌ってみたら、両手に買物袋をもったおば様が立ち止まって最後まで聞いてくれました。「今の曲本当によかったんだけど、誰の曲なの?」って聞かれて、嬉しかったなぁー!それがきっかけで、3歳から続けていた水泳をやめてミュージシャンを目指すようになったんです。
感情は、1人では感じられない

僕が曲を書くのは、すごく悲しいとかすごく嬉しいとか、感情が動いた時なんですけど、その感情は、一人では感じ得ないものなんですよ。いて欲しい誰かがいるからこそ、さびしかったりもする。だから、一人じゃないんだっていつも感じるんです。自分の歌には人のぬくもりみたいなものを込めているので、聞いてくれた人が、「一人じゃないんだな」って改めて感じてくれればいいなと思います。
そんな小松優一さんの、最近気になる「コトバ」は?
映画
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洋画・邦画問わず、ノンフィクションものが好きですね。自分が見たことがないもの、感じたことがないものがバンバン入ってきます。妹と一緒に感動作を見て泣いたりすることも…(笑)。でも、僕が泣いてる理由と妹が泣いてる理由って違ったりすることもあると思うんですよ。そういうのも面白いですね。映画を好きになったきっかけは「アルマゲドン」。何度も見返しています。
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コーヒー
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曲作りに入ると、高さ15センチくらいのインスタントコーヒーのビンの粉が、一日で半分近くに減るくらいコーヒーを飲んでます。飲みすぎですよね(笑)。人間観察や作詞をするカフェでもコーヒー。近所に定年を過ぎたおじいちゃんとおばあちゃんがやってる喫茶店があって、豆はもちろん、フィルターの角度、熱湯の温度、蒸し方まですごくこだわってるんですよ。そこにいるとホッとします。自分でも淹れられるようになりたいですね。
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家族
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ある時、普段はあまり家族思いに見えなかった弟が、「もし家族がバラバラになったらって考え始めたら泣けてきた」って言ったんです。僕も同じことを考えた時期があったから、家族について朝まで語り合いました。妹もいて、二人に曲を聴いてもらうこともあるんですけど、「やる気あんの?」とか「もう少し頑張ったら」ってすごく辛口評価なんですよ。でも「ポストマン」の主題歌になった"Together"は「いいね」と言ってくれました。
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悲しいニュース
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悲しいニュースには敏感に反応してしまうんです。自分が書いている曲は人のぬくもりとか、人の大切さみたいなことなので、悲しいニュースがあると、「なんでこんなことになるんだ」って思わずにいられなくて、そこから曲が生まれたりもします。
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関連情報

小松優一さん 公式ウェブサイト

徳間ジャパン アーティストサイト

島村楽器特設ブログ

「映画ポストマン」ウェブサイト

小松優一(こまつ ゆういち)  出身地:千葉県出身
生年月日:1985年4月26日 血液型:B型

中学3年の夏に父親からギターを譲り受け、音楽の楽しさに目覚める。誰かに聴いて欲しい衝動を抑えきれず路上ライブをスタート。
高校では友人とアコースティックユニットを結成し、ミュージシャンになることを決意。卒業後はライブハウスに勤めながら精力的にライブ活動を行い、2005年、島村楽器HOTLINE2005のジャパンファイナルでグランプリを受賞。2006年6月にシングル『星でも眺めよう/Flower~君という名の花~』でメジャーデビュー。2007年にはセカンドシングル『風の始まり』(「天使のいた屋上」主題歌)をリリース。2008年、映画「ポストマン」の主題歌「Together」を発表。4月9日にはファーストアルバムの発売、5月23日には渋谷 DUO MUSIC EXCHANGEワンマンライブも予定している。
3rd single Together

長嶋 一茂製作総指揮「ポストマン」
出演:長嶋 一茂・北乃 きい・原 沙知絵 他
2008年3月22日(土)より全国ロードショー。
© 2008「ポストマン」製作委員会
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2010年1月19日火曜日

型式指定

米国産車もエコカー補助対象に 政府、対日批判に配慮

2010年1月19日15時1分

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 エコカーを買うと最大25万円もらえる補助金制度について、政府は米国車も対象になるよう制度を見直す方向で最終調整に入った。米国車は現在1台も対象になっておらず、米国から批判が強まっていることに配慮する。

 エコカー補助金は一定の燃費基準を満たす自動車の購入者に5万~25万円を給付する制度。経済危機対策の一環として昨年4月、2010年3月末までの予定で始まった。09年度2次補正予算案が成立すれば、9月まで半年間延長される。

 補助対象として認められるためには、日本国内の燃費基準を満たす必要がある。ただ、米国の自動車メーカーは日本で販売する際にほとんど、燃費の測定などをする「型式指定」と言われる手続きを経ずに簡素化した認証制度を利用しており、仮に省エネ性能が高くても補助金の適用対象外だった。政府は、米国で測定した燃費値を補助金の適用で活用できることにする方向で調整している。

 日本のエコカー補助金では、「型式指定」を受けている欧州車の3割程度が対象になっているが、米国車は1台も対象になっていない。一方で、米政府が昨年7~8月に実施した補助金では約68万台の適用対象の半分を日本車が占めた。米議会には今月、米国車を対象に加えるよう日本政府と協議することを米政府に求める決議案が出され、クリントン米国務長官は岡田克也外相との会談で「米国車を排除しているということで米議会で懸念が高まっている」と述べ、対応を求めていた。

 これまで日本政府は「米国車も型式指定を取得し燃費などの条件を満たせば、補助金の対象になる」として、現在の制度は米国車の排除を目的としたものではないと説明してきた。

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日本社会にとって型破りの人物

【首相夫人】幸さんには、型にはまった女性像を良い意味で塗り替える存在になってほしい
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 【徳島新聞のコラム】 米CNNテレビは「これまでのどの日本の首相夫人とも違うタイプ」と報じ、イタリアの通信社は「日本社会にとって型破りの人物」と伝えた。誰のことかもうお分かりだろう。次期ファーストレディーになる民主党の鳩山由紀夫代表の妻、幸(みゆき)さんである。中国・上海生まれの元タカラジェンヌ。明るく活発な性格で、その上に数々のとっぴな発言歴もあるとなれば、国内外のメディアが放っておくわけがない…外交の表舞台に立つ幸さんには、型にはまった女性像を良い意味で塗り替える存在になってほしい。何せこれからは女性の社会進出が日本の成長力の源になる時代なのですから。(2009年9月7日付「鳴潮」)全文

2010年1月18日月曜日

星新一  SF同人誌『宇宙塵』時代の仲間、柴野拓美

キマグレフレンドシップ01
きまぐれフレンドシップPART1



星新一/著

ショーとショートの第一人者でありつづけてきた著者が、少年時代から現在までに出会った人々とその作品を語る。

SF同人誌『宇宙塵』時代の仲間、柴野拓美。今もなお師と仰ぐ大下宇陀児。著者がデビューして間もない頃の江戸川乱歩との交友。新進作家のグループ「他殺クラブ」の面々との懐かしい日々。数多くの自作にイラストをつけてくれた真鍋博。作家となって三十数年、ショートショートの第一人者でありつづけてきた著者が、少年時代から現在までに出会った人々とその作品を語る。

発行形態 : 新潮オンデマンドブックス
判型 : 新潮オンデマンドブックス
頁数 : 210ページ
ISBN : 978-4-10-865082-4
発売日 : 2001/05/04



2,310円(定価) ウェブの書籍で購入

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星新一/著
ホシ・シンイチ

(1926-1997)東京生れ。東京大学農学部卒。1957(昭和32)年、日本最初のSF同人誌「宇宙塵」の創刊に参画し、ショート・ショートという分野を開拓した。 1001編を超す作品を生み出したSF作家の第一人者。SF以外にも父・星一や祖父・小金井良精とその時代を描いた伝記文学などを執筆している。著書に『ボッコちゃん』『悪魔のいる天国』『マイ国家』『ノックの音が』など多数。

SF作家・翻訳家 柴野拓美(筆名=小隅黎)先生逝去(東京創元社サイト)

柴野拓美
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
(小隅黎 から転送)
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柴野 拓美(しばの たくみ、1926年10月27日 - 2010年1月16日)は、日本のSF翻訳家、SF作家であり、SF研究家である。石川県出身。
目次
[非表示]

* 1 人物・来歴
* 2 所属団体
* 3 著作
o 3.1 小説
o 3.2 評論
o 3.3 翻訳
* 4 註
* 5 外部リンク

人物・来歴 [編集]

1950年6月、東京工業大学機械工学科卒業。1951年4月 - 1977年3月、東京都立小山台高等学校(定時制)数学科教諭。

小隅 黎(こずみ れい) のペンネームで翻訳・創作をおこなっており、英語圏の作家とも親交が深い(ペンネームの由来は「コズミック・レイ」から)。小隅黎名義ではタツノコプロが製作した数多くのアニメ作品のSF考証も担当。同社の処女作『宇宙エース』では既にフィルムができあがっている状況で作中の描写に対して整合性のある理屈をつけるという、後の『機動戦士ガンダム』で松崎健一(スタジオぬえ)が行った作業に先駆けてもいる。

1957年に創刊された日本最初のSF同人誌「宇宙塵」(当初のグループ名称は「科学創作クラブ」)主宰者であり、日本SFファンダムの父でもある。1962年に第1回日本SF大会MEG-CONを主催、1965年にはSFファングループ連合会議創立もおこなった。同時にSFファンダム賞も創設(これは5年後に星雲賞にその役割をゆずった)。1982年からは、日本SFファンダム賞の趣旨を受け継ぐかたちで、日本のSFファンダムに功労のあった人物を顕彰する柴野拓美賞を創設、自ら受賞者を選出し、毎年、日本SF大会席上にて発表していた。

世界SF大会では、1996年大会と2007年大会でファン・ゲスト・オヴ・オナーをつとめた。

2010年(平成22年)1月16日、死去した[1]。満83歳没。
所属団体 [編集]

* 「日本推理作家協会」
* 「日本SF作家クラブ」
* 「SFWA(アメリカSF作家協会)」
* 「WORLD・SF(国際SF組織)」

著作 [編集]
小説 [編集]

* 『超人間プラスX』
* 『月ジェット作戦』
* 『北極シティの反乱』徳間書店:刊

評論 [編集]

* 「『集団理性』の提唱」- 巽孝之編「日本SF論争史」(勁草書房)に収録。

翻訳 [編集]

* ハル・クレメント『超惑星への使命』
* アンドレ・ノートン『大宇宙の墓場』
* ラリー・ニーヴン『リングワールド』
* J・マックフィー『原爆は誰でも作れる』
* J・P・ホーガン『造物主の掟』
* E・E・スミス《レンズマン》シリーズ

ハードSF作品を中心に、60作品に及ぶ。
註 [編集]

1. ^ 訃報 柴野拓美先生、迅雷計画のブログ、佐原晃、2010年1月17日付、2010年1月17日閲覧。

外部リンク [編集]

* SF作家・翻訳家 柴野拓美(筆名=小隅黎)先生逝去(東京創元社サイト)

「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%B4%E9%87%8E%E6%8B%93%E7%BE%8E」より作成
カテゴリ: 亡くなったばかりの人物 | 日本のSF作家 | 日本の翻訳家 | 石川県出身の人物 | 1926年生 | 2010年没
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2010年1月17日日曜日

1週間かけて行っていた計算が1晩で済むようになった

MATLABが並列計算に対応し、解析効率を大幅改善

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新しいMATLABの形「Parallel Computing Toolbox」
MATLABが並列計算に対応し、解析効率を
大幅改善

2008/12/2

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 サイバネットシステムは2008年12月2日、「MATLAB」による並列計算ツールに関する記者説明会を行った。並列コンピューティングの最新動向の説明と併せ、並列計算処理に対応するMATLABファミリー製品「Parallel Computing Toolbox」の機能紹介を行った。

 現在、自動車や航空/宇宙、バイオテクノロジーなど多岐にわたる産業分野の研究において、技術計算はどんどん複雑になってきている。併せて研究開発のスピードも要求される。単体のマシンでは対応し切れないという事態も起こるようになった。インフラやアプリケーションに投資をするにしても、際限なく資金があるわけではない。それらを打開するのが並列コンピューティングだと、MATLABの開発元である米マスワークス社のMATLAB アプリケーション ディレクター リサ・ケンプラー(Lisa Kempler)氏は説明する。並列計算処理とは、複数のプロセッサを用いて計算処理を行う方法。外部のリソースをネットワーク経由で取り込み、処理を分散させて作業の効率化を行う。計算効率を向上させることで、ライセンス数削減へもつなげていける。
米マスワークス社
MATLAB アプリケーション ディレクター
リサ・ケンプラー(Lisa Kempler)氏

 かつて並列MATLABの商品化は難しいとされてきた。並列コンピュータとMATLABのアーキテクチャとの相性がよくないため、並列計算のできるMATLABを実現するにはMATLABのアーキテクチャを改造しなければならなかった。改造をするにしても、開発工数を掛けただけの需要が市場で見込めるのかどうかも疑問視された。だが近年のマイクロプロセッサの進化や、並列コンピュータの普及が進んできたことを機に、Parallel Computing Toolboxの開発および商品化に踏み切ったということだ。

 Parallel Computing Toolboxは、デスクトップ上でも並列計算環境が提供できることを利点とし、操作面では、コードの一部に数文字程度変更あるいは追加する(タスクを並列化したいときには「for」を「parfor」に変えるなど)だけで、後の処理は自動で行われ、並列計算処理を簡単に行えるのが利点だという。並列コンピューティングの専任者は不要で、新たに言語を覚える必要もない。最新版の4.0では、SPMD(Single Program Multiple Data)による直列プログラミングと並列プログラミングとの切り替えの改善や、システム障害が原因で失敗したタスクを自動再実行するなどの機能強化を行った。

 ケンプラー氏は同製品のユーザーであるマックスプランク研究所の例を挙げた。そこではがん治療用のための分子化合物の研究を行っているが、たんぱく質構造の再構築に関しておびただしい数の計算をしなければならない。研究に10年ほど月日を費やしてきたが、なかなか成果がでなかったという。そのような状況を改善しようと並列MATLABを採用した。計算効率が大幅に改善されたことで、1週間かけて行っていた計算が1晩で済むようになったという。

 上記の例はバイオテクノロジー関連だが、もちろん製造業の研究開発でも同様の効果が見込めるとのことだ。ケンプラー氏は「HILシミュレーションやデジタル試作の効率化も図れるでしょう。解析専任者の所有するデータをエンドユーザーと共有することも可能でしょうね」と話した。
関連リンク

* サイバネットシステム
* マスワークス

(@IT MONOist編集部 小林由美)
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* iPhoneでも3次元モデル活用ができる(2009/11/30)

2010年1月15日金曜日

マリーセレスト号消失

病気になった小麦で作ったパンを食べた船員達が、みんな妄想に侵されて海に
飛び込んだんだと、以前聞いたことがあります。
ちなみに、この小麦の病気というのは”麦角病”というやつで、これを食べると
L.S.D中毒のようになります、というか、この麦よりL.S.Dが抽出されました。

2010年1月13日水曜日

「ひつまぶし」名物女将・鈴木せき子さん死去

「ひつまぶし」名物女将・鈴木せき子さん死去 (読売新聞)
記事写真
写真1
 亡くなった鈴木せき子さん

 名古屋名物「ひつまぶし」の元祖とされる名古屋市熱田区の老舗料理店「あつた 蓬莱軒 ( ほうらいけん ) 」の名物 女将 ( おかみ ) 、鈴木せき子(すずき・せきこ)さんが11日、非ホジキンリンパ腫で死去した。88歳だった。

 告別式は近親者で済ませた。お別れの会は18日午前11時30分、同市中区錦1の19の30名古屋観光ホテル那古の間。自宅は熱田区神戸町503。

 同市出身の鈴木さんは1941年、明治6年(1873年)創業の蓬莱軒の長男鈴木兼三氏と結婚し、熱田神宮近くの本店で4代目女将として店を切り盛りした。蓬莱軒が明治30年代に開発したとされるウナギのかば焼きを細かく刻んでご飯にのせる「ひつまぶし」を名物に育てた。

 語尾に「なも」をつける上品な名古屋弁を話す名物女将としてテレビなどにも出演、芸能界やスポーツ界など多くの著名人と交流があった。著書に「名古屋『ひつまぶし』繁盛記 100万粒の涙」(NHK出版)。

[ 2010年1月13日23時3分 ]

Windows上の仮想化環境でLinuxを起動

QEMUでリードオンリーLinuxを起動
Windows上で仮想シンクライアント、クラムワークス

2008/11/28

 クラムワークスは11月28日、「vROM - Thin Client on Windows」を発売した。価格は7980円(税込み)。Windows上の仮想化環境でLinuxを起動し、安全なシンクライアント環境を実現する。オープンソースの仮想化環境「QEMU」とLinuxカーネル 2.4を組み合わせた。

 シンクライアントとして起動するLinuxのイメージは、Windows上ではリードオンリーに設定されているため、マルウェアなどによりシステムファイルが書き換えられる危険はないという。仮想環境の設定変更は専用ツール「vROM Admin」で行う。

 また、Webブラウザの履歴やクッキーは、RAMディスク上に保存されているため、仮想環境を終了した時点で消滅する。再度起動したときには、クリーンな設定で使えるという。

 WebブラウザはFirefox 2相当で、リモートデスクトップアクセス環境と「TightVNC Viewer」「Rdesktop」「Citrix ICAクライアント」を含み、VNC、RDP、ICAといったプロトコルに対応する。VNCとRDPによる接続ではOpenSSHも利用できる。

 動作環境はWindows XP、Vistaで32ビット版のみサポート。ハードディスクの空き容量が約300MB必要。

あまみや・かりん 「勝訴」の瞬間

あまみや・かりん北海道生まれ。愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカルなどを経て作家に。自伝『生き地獄天国』(太田出版)のほか、『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎)、『EXIT』(新潮社)、『すごい生き方』(サンクチュアリ出版)、『バンギャル ア ゴーゴー』(講談社)、『生きさせろ!〜難民化する若者たち〜』(太田出版)など、著書多数。現在は新自由主義の中、生活も職も心も不安定さに晒される人々(プレカリアート)の問題に取り組み、取材、執筆、運動中。非正規雇用を考えるアソシエーション「PAFF」会員、フリーター全般労働組合賛助会員、フリーター問題を考えるNPO「POSSE」会員、心身障害者パフォーマンス集団「こわれ者の祭典」名誉会長、ニート・ひきこもり・不登校のための「小説アカデミー」顧問。雨宮処凛公式サイト
雨宮処凛の闘争ダイアリー
雨宮処凛の「生存革命」日記

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過労自殺裁判の勝訴!! の巻

上段のり子さんと。いろいろ教えて頂き、とってもお世話になってます。

 09年7月28日午後2時。東京高裁808号法廷。
 この日、私は生まれて初めて「勝訴」の瞬間に立ち会った。
 難解な判決の言葉がゆっくりと読み上げられ、過労死・過労自殺問題のエキスパート・川人弁護士の顔が満面の笑顔に変わった瞬間、法廷を拍手が包んだ。「おめでとう!」と誰かが叫び、思わず立ち上がっていた。そうして報告会のために弁護士会館に現れた川人弁護士は、開口一番「勝ちました!」と叫んだ。何か、歴史的な瞬間だった。

 この日の裁判は、『生きさせろ!難民化する若者たち』の第5章「企業による殺人 過労自殺」で取材させて頂いた上段勇士さん(享年23歳)の裁判だ。上段勇士さんは私と同じ75年生まれ。高専から都立大学に編入学したのちに中退した彼は、アメリカ留学のお金をためるため、業務請負会社「ネクスター」(現アテスト)に採用され、埼玉のニコンの工場に派遣される。そしてその1年4ヵ月後の99年、23歳の若さで自ら命を絶ってしまうのだ。
 その仕事内容はあまりに過酷だった。昼夜交替でのクリーンルームの作業、たび重なるシフト変更、海外出張や15時間を越える休日出勤、亡くなる直前には15日間連続勤務があり、その間の平均労働時間は11時間。また、同時期に入った派遣社員、請負社員の大量リストラも彼を精神的に追い詰めていた。

 ここには現在の「使い捨て」労働の問題を巡るすべてがある。
 そして注目したいのは、彼がそんな現実に直面していたのが97〜99年にかけて、今から10年以上前だということだ。
 10年前と言えば、私自身もフリーターだった。そして当時から、少なくない「若者」はこのような滅茶苦茶な働かされ方の中にいた。しかし、社会経験の浅い若者には、自分に何が起こっているのかわからない。当事者でさえわからないのだから、現実を知らない人々にはもっとわからない。そうして長い間、この問題は放置されてきた。放置される中で、多くの犠牲者が生み出されてしまった。
 今でこそ「偽装請負」という言葉は知名度を得たが、勇士さんも名目は請負、実態は派遣という偽装請負状態で働いていた。請負会社は月末にニコンから報告を受けて初めて労働時間を知るというありさまで、どういう仕事をしているかも知らなかったという。そして派遣先のニコンにとって勇士さんは「よその会社の人」。請負会社にとってニコンという大企業は「お得意さま」。こうしてシステムの穴の落ちるようにして、どんな長時間労働を強いられても誰にも顧みられない立場となってしまった勇士さんは、過酷な労働からうつ病となり、請負会社の寮で首を吊って亡くなってしまうのだ。部屋のホワイトボードには、「無駄な時間を過ごした」と書かれていたという。

 そうして00年、母親の上段のり子さんはニコンとネクスターを訴える。4年8ヵ月にわたる地裁の判決では「偽装請負」を実質指摘、企業の責任を認めるものだったが、損害額が3割減額されていた。そうして高裁で争われ、やっと出た今回の判決が「全面勝訴」だったのだ。この判決には、現在も偽装請負状態で働いている多くの人々の未来もかかっていると思っていただけに、感慨深いものがある。
 06年、『生きさせろ!』の取材で私は初めてこの裁判に行った。ネットで見ただけで何の面識もない原告の上段さん(お母さん)にアポも取らずに話しかけ、突然取材を申し入れたのがもう3年前だ。そうして強引にも居酒屋の片隅で取材を敢行。初めて過労自殺の「遺族」の方にお話を聞く緊張で、何か汗だくになったことを覚えている。それから欠かさずこの裁判に通ってきた。時には傍聴券の抽選に外れることもあったけど、裁判後の「報告会」で進行を知り、具体的な裁判の進められ方について多くのことを学び、また、上段さんの紹介でたくさんの良心的なマスコミの人たちや支援者の人々と出会えた。何か裁判を中心として、不思議な「場」が成立していたのだ。
 報告会で、上段さんは言った。

 「派遣・請負という立場で人の評価が変わるような社会は絶対に望まない」
 報告会には、勇士さんのお兄さんと弟さんも来ていた。私と同世代の2人が並ぶのを指して、「ここにもう一人いるんです」と言った上段さんの言葉に胸がしめつけられた。子どもの頃から勇士さんを知るという方々も来ていて、改めて「過労自殺」という言葉では語り尽くせない「不在の人」の存在を強く強く感じた。

 『生きさせろ!』を読んだ人から、上段さんの裁判はどうなったの? と聞かれることは少なからずあった。だからこの日、私は「嬉しい報告ができるので本当によかった」と言った。「おめでとうございます」とも言った。だけど、「勝訴」したからと言って、失われた命が戻ってくるわけじゃない。嬉しい反面、そんな事実を突き付けられる判決でもあったのだ。
 偽装請負は現在も手を変え品を変えて続いている。この判決が大きな突破口となることを願いたい。

近所の黒白ちゃんの子猫。こんなに大きくなりました。

10年前に、すでに表れ始めていた「労働者使い捨て」の現実。
失われた命は返ってはこないけれど、
新たな命が失われないための一歩になることを願います。
上段のり子さんが裁判の経緯などをまとめたホームページ
「派遣社員過労自殺裁判〜「派遣」へのメッセージ〜」も
ぜひごらんください。

これをバンガリ語、英語にしてgyanstromib.com

2010年1月12日 18時00分
「都はサービスが悪い!?」年越し派遣村は"ゆとりオヤジ"たちの巣窟だった!
長妻厚労相もビックリ!?

 年末年始に住居がない失業者に食事と住居を提供する「官製派遣村」。今年度は約 6,000万円の予算が税金から投入されているが、ネット上では「ほんとに困っている人たちに利用されているのか?」「仕事を探しているように見えない」という声が後を絶たない。中には「なぜか『憲法9条改正阻止!』の旗を持った輩がうろうろしていた。"プロ市民"の活動費に血税を使うのか」と疑問視する声すらある。

 東京都による「派遣村」は、昨年末12月28日から今年1月3日までの期限で「国立オリンピック記念青少年総合センター」(渋谷区)に開設され、約860人が入所。閉鎖日以降も行き先が決まらない約680人全員が、3日に都の予算でカプセルホテルに一泊した後、4日から大田区の「なぎさ寮」へ移動。10日現在で約400人が残っているという。

 実際に現地で入居者の声を拾ってみると、思わず脱力してしまう声が少なくない。ガッチリした健康そうな50代の男性は、今回参加した理由を「夫婦喧嘩して女房から追い出された」とあっけらかんと答えてくれた。

「俺が全然仕事を探さないから、いい加減ブチ切れたんだろう。遂に『出てけ!』と言われた(笑)。どこへ行けばいいんだと言い返したら『派遣村行きな!』と。ふてくされて飛び出したら、追いかけても来てくれない。だから仕方なく来た。小遣いももらったし、女房に土産買って明日(7日)あたり帰るよ」と実に"前向き"だ。

 「小遣い」とは、就職活動のための交通費や食事代として、6日に都から1人当たりに支給された約2万円の「活動費」のこと。今年度は約600人に1,200万円以上が支払われている。領収書が必要というのが建前だが、「交通費に使った分は領収書が不要なので全部電車賃で報告する」(別の40代男性)というパターンが多いのが実状。それどころか、多くの入居者が「活動費」をもらった直後に万札を握り締めて派遣村近くの売店へ殺到し、酒やたばこ、スポーツ新聞を買うための行列ができたと、一部メディアが報じて物議を醸した。

 さらに、2万円を受給しながら約150人が行方不明になっていることも10日付けの産経新聞が報じている。活動費の2万円は一時的に都が支出し、最終的には厚労省が補てんする仕組み。今回の「行方不明」だけで約300万円の税金が消えた計算だ。

 現地で取材をしていたある記者が吐き捨てるようにつぶやく。

「履歴書や印鑑を買うお金すらない人たちへの当然の支援というのが支援団体の労組の言い分。履歴書を買わずにビールを買っているのだからバラ撒きもいいところ。現政権が支持母体の労働団体におもねっていると言われても仕方ない」

 これについて長妻厚生労働大臣は、記者会見で「一部の人の不正で全体に迷惑がかかるのは残念」とコメントしたが、全体の約2割に当たる150人が「一部」で済むかどうかは判断が分かれるところだ。

 また、ある20代の若い利用者は、派遣村を知った理由を「荒川の河川敷にいたら知らない人が近寄ってきて『渋谷へ行こうよ』と誘ってくれた」と意外な事実を教えてくれた。

「親切な人だと思ってついて来た。話しているうちに、『思ったより人が集まらなくて困っている。500人が目標なのだが、まだ200くらいしか集まってない。"仲間"を必死でかき集めているところだ』と教えてくれた。そこではじめて運動家だと知ったが、政治には関心ないし、とにかく寝床が欲しかった。その人とは年明けにも会ったけど、『最初はどうなるかと思ったが最終的に800人以上集められてホッとしているよ』と誇らしげでしたね」

 入居者には前述の2万円とは別に500円程度の弁当も二食支給され、就職活動支援のために最寄り駅までのシャトルバスが1時間おきに運営された。まさに至れり尽くせり。入居者はさぞかしご満悦かと思いきや、現地では不平不満が常に渦巻いていたという。

  30代の入居者は「渋谷センターの入居期限が4日だったのだが、その後の行き先を見つけられない人が700人近くいた。400人分は都がカプセルホテルを用意したが、予算の関係で全員は入りきらないため、残りは大田区の『なぎさ寮』へ移動すると報告があった。僕個人はラッキーだと思ったが、ほとんどの連中は『なんで全員をホテルに泊めないんだ!』と暴れだして、結局全員が泊まれることになった。いくらなんでもわがまますぎる。あれじゃゴネ得です」と呆れ気味に言う。その場にいた別の入居者もこう語る。

「みんな殺気立っていて怖かった。ゴミ箱をひっくりかえして暴れる奴がいたり、完全な暴動でしたよ。説明にあたった都の職員が殴られたときは、『こりゃ大変なことになった。ニュースになって派遣村が世論から叩かれるぞ』と仲間うちで不安になっていたら、翌日の新聞に『都の対応が不十分』とか『入居者に不安が広がっている』とか書いてある。正直びっくりした」

 どうやら入居者の多くがこうした"サービス"を当然の権利だと勘違いしているのは間違いなさそうだが、さらに深刻なのは「真剣に就職活動に取り組んでいる入居者がほとんどいない」(前出の記者)という指摘だ。

 都によれば、年末年始の約1週間で就労相談に訪れた入所者はわずか1割。このことについて現地で数人に聞くと「あんたらは他人事だから仕事を選ぶなとか勝手なことをいうが、こちらも選ぶ権利はある」「仕事よりもまず生活保護。生活基盤が安定しないと仕事もできない」と罵倒されてしまった。

 食事と寝床を提供され、現金まで貰いながら「都は"サービス"が悪い!」(ある入居者)と勘違いする"ゆとりオオヤジ"たち。はたして現政府は、新年度予算でどれだけの金額を彼らのために計上するつもりなのだろうか。
(文=浮島さとし)



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2010年1月6日水曜日

結 び 21世紀における対外経済政策も、その目標に向かって挑戦していくことが求められている

結 び

 今回の通商白書は、21世紀に入って初めての白書である。また、経済産業省としても、初めての通商白書となる。この白書では、今日の我が国をめぐる環境を整理し、21世紀初頭における我が国の対外経済政策における課題を明らかにすることを試みた。まず、第1章においては、東アジアにおいて塗り替えられつつある貿易・産業構造のあり様や中国の台頭等厳しい競争環境を紹介した。これは、第2章のIT革命を背景としたビジネスのダイナミックな変貌と併せて、我が国がグローバル経済の中でどの様な位置に置かれているかを見据えることを念頭に置いている。グローバリゼーションが進む一方で、いや、むしろ進めば進むほど、経済社会の急激な変化が生じ、ひずみをもたらすことが懸念される。そうした思いから、第3章では、グローバリゼーションに対する懸念に光を当てた。環境、貧困、労働、森林減少等、グローバリゼーションに対する懸念として指摘されている問題は、いずれも深刻な問題である。これらの課題に対して、人類はますます真摯な対応を迫られている。しかし、我々は、グローバリゼーションという船から飛び降りることはできない。市場経済システムにとって代わることのできるパラダイムが存在しない今日においては、我々は、ますます加速するグローバリゼーションの中で、日本の歩むべき進路を考えていかなければならない。第4章では、こうした観点から、我が国の構造改革の問題や国際的なルール・メイキングの課題を取り上げた。この4つの章立てによって、国民一人一人が我が国の進路を考えていく際の材料と視座を提供することを企図している。

 この白書を締めくくるに際して、最後に3つの点を強調しておきたい。まず、第一に、我々が直面する問題の多くが、もはや、国内問題として閉じた形で対応することが意味をなさず、国内政策と対外政策を切り離して語ることはできなくなったことである。モノ、カネ、ヒト等の資源は、グローバルな拠点に展開し、それらが情報ネットワークで複層的に結ばれている。このような時代にあっては、対外経済交渉もかつてのように、自国の販路をいかに確保するかといった単純な国益調整の構図ではあり得なくなった。翻ってみると、近代の我が国の対外経済政策は、米国の対中貿易拡大に伴う太平洋航路確保と対日貿易等を求めた 1854年の日米和親条約及び1858年の日米修好通商条約をめぐる通商交渉から始まった。爾来、対外関係は不平等条約の改正から、日本経済の拡張に伴う通商摩擦へと、エネルギーの太宗を摩擦対応に費やしてきた。21世紀における我が国の対外経済政策は、従来の通商をめぐる利害関係調整型ではなく、第4章で考察したような、国内外のマーケットにおける建設的なルール構築型に軸足を移すことが求められている。

 第二に、我が国経済の閉塞状態からの脱却から、環境問題への対応に至るまで、我々の直面する課題は、いずれも市場メカニズムをうまく働かせるような枠組みの下で解決していく以外に手だてはない。例えば、第3章で見たとおり、外部不経済が存在する環境等の分野については、これを内部化するような仕組みが求められる。特に、地球温暖化問題等、グローバルな問題については、世界的なレベルで外部不経済を内部化するという困難な問題解決を行わなければならない。しかしながら、民主主義と市場経済という、我々が前提とする社会の基本的な枠組みの下では、それぞれの課題に携わる者のインセンティブが働く仕組みを作らなければ、決して持続可能な解決とはなり得ない。

 第三に、我々日本人の自己革新能力低下の問題である。例えば、第2章における企業のIT活用戦略の中では、ITを活用した経営革新を行うのではなく、 ITを既存の組織や業務を前提として活用しようとする傾向が強い日本企業の姿が浮き彫りになった。また、第4章では、我が国経済を取り巻く環境変化に十分なスピードで対応が図れておらず、その背景に、あまりにも長く平穏な安定成長が続いたことによって、思考方法の柔軟性が低下し、体制の硬直化を招いているとの指摘を行った。人は誰しも成功が積み重ねられるほど、今までのやり方を踏襲しようとするのが常であり、その結果、柔軟性を失いがちである。そうした意味では、成功の裏には常に衰退の要因が隠されている。無論、我が国においても、改革に向けての積極的な取組みが始められている。しかしながら、競争相手もそれ以上のスピードで絶え間なく改革を続けており、グローバル経済の下では、その速さが競われている。我々は、このような状況を十分に踏まえながら、自己革新に取り組んでいかなければならない。

 困難な経済状況から、我が国の21世紀はスタートした。しかしながら、歴史的にも我が国は、より厳しい国民的な困難を幾度となく切り抜けてきている。むしろ困難を糧としながら、再び活力ある日本を目指して取り組んでいかなければならない。21世紀における対外経済政策も、その目標に向かって挑戦していくことが求められている。

(5) 21世紀における対外経済政策の挑戦

(5) 21世紀における対外経済政策の挑戦

 以上、我が国の対外経済政策を取り巻く環境、そして重層的対外経済政策を展開することの必要性についての整理を行った。以下では、重層的な対外経済政策の効果を最大化する上で不可欠な条件について考察を行う。

1)WTO協定との整合性確保
 我が国が重層的対外経済政策を推進していく際の第一の挑戦は、地域や二国間で協定を締結していく際にWTOとの法的整合性を担保することである。特定国に対してのみ関税・非関税障壁を引き下げるFTAは、最恵国待遇(MFN)原則の例外としてWTO協定上認められている。これはFTAによる貿易自由化が世界的に進展することにより、結果として世界貿易の拡大に資するとの考えに基づいているが、他方、MFN原則の空洞化を防ぐために、
FTAを締結する加盟国に対して一定の要件を課している。例えばモノの分野についてはGATT第24条において、1)FTA締結国間の実質上すべての貿易について関税及びその他の制限的通商規則を廃止すること、2)廃止のための移行期間は原則10年を超えるべきでないこと(注281)、3)域外国に対する関税その他の通商規則をより高度または制限的なものにしてはならないことが要件として定められているほか、サービスの分野においてもGATS第5条において同種の規定がなされている(第4―3―30表 )。
 WTOが提供する多角的な貿易秩序の恩恵を我が国が今後とも享受し続けるためにも、あるいは我が国の国際的な信用を維持するためにも、二国間、あるいは地域レベルでEPA等を締結する際にはWTO協定との整合性を確保することが不可欠である。また、重層的な対外経済政策の効果を最大化するためには、 WTO協定との整合性を確保するのみならず、以下で述べる2)、3)の条件を同時に満たしていくことが必要となる。

2)迅速な交渉の実施
 近年、FTAの交渉スピードは加速しており、2000年に開始された交渉のうち少なくとも3つの協定は約5か月で調印に至っている(第4―3―31表 )。こうした交渉スピードの加速は、通商ルールのデファクト・スタンダードの獲得、あるいは地域貿易投資拠点の形成といった先行者の利益を得る上で不可欠な要素の1つであろう。また、著しく変化している技術や消費者ニーズに適合した協定を策定する上でも、交渉の迅速性は欠かせない。したがって、我が国が重層的対外経済政策を推進する際の第二の挑戦は、EPAや二国間投資協定等の交渉の迅速性を確保するということである。
 上記に述べた「WTO協定との整合性確保」と「迅速な交渉」という2つの条件を同時に満たすことは極めて困難であるが、WTOの信頼性を維持しながら閉塞状態にある国内経済を早急に活性化させるためには、いずれの条件も満たすことが必要である。

3)各フォーラム間の有機的な連携
 重層的対外経済政策を推進する際の第三の挑戦としては、二国間・地域における取組みの際に、これまで我が国がWTOにおける交渉で培ってきた経験・ノウハウ・人材等各種リソースを最大限活用するとともに、二国間・地域における交渉の成果・経験をWTOの場で還元・貢献していく等、各レイヤー間で有機的な連携を確保していくことである。こうした連携は、前述の「迅速な交渉」という目標を達成する上でも不可欠な条件であろう。

第4―3―30表 WTO協定上地域統合が正当化されるための要件
第4―3―31表 主なFTAの交渉期間の比較

(4) 二国間における取組み

(4) 二国間における取組み

1)日本・シンガポール新時代経済連携協定
 1999年12月8日、日本の小渕総理大臣(当時)とシンガポールのゴー・チョクトン首相との間の首脳会談において、両国の産学官の専門家により日本・シンガポール間のFTAについて共同研究を開始することが合意された。この合意に基づき、2000年3月から半年にわたり計5回の合同検討会合が開催され、同年9月に最終報告書が公表された(第4―3―27表 )。その検討会報告書では、関税撤廃といった伝統的なFTAの範疇にとどまらず、投資、競争、貿易手続の電子化、電子商取引関連制度調和、人の移動の円滑化等、新分野を含む幅広い協力の必要性をうたっていることから、日本・シンガポール間の協定を「新時代経済連携協定:The Japan-Singapore Economic Partnership Agreement(JSEPA)」と称している(注275)(第4―3―28表 )。この報告書を受け、2000年10月22日に行われた首脳会談では、協定締結のための正式な交渉を2001年1月に開始し、遅くとも2001年末までに終了すべきことが決定された。この首脳会談の決定を受け、既に第1回交渉が1月31日から2月1日にかけて行われており、4月には第2回交渉が予定されている(注276)。

2)その他の国との二国間関係強化(注277)
 (メキシコ)
 1998年11月にセディージョ大統領(当時)が訪日した際に、日墨間での自由貿易協定及び投資協定の検討について提案がなされたことを受け、自由貿易協定について日本貿易振興会とメキシコ商工振興省(現経済省)が共同研究を行い、2000年4月に共同で報告書(注278)を発表した。さらに、2001年1月に平沼経済産業大臣がメキシコを訪問した際に、デルベス経済大臣からFTAの早期交渉開始に関する提案があり、当面両国間で認識を深めていくため、広範な分野を対象とする協定について研究会を開始することについて両国の政府部内においてそれぞれ検討がなされている。投資協定については、既に1999年より交渉が開始されており、両国で鋭意協議中である。
 なお、メキシコはNAFTAに加え、2000年7月にEUとの間でもFTAを発効させており、メキシコに進出及び輸出を行っている日本企業の競争条件は厳しくなりつつある。このような中、経済団体連合会は現在交渉中の投資協定が成功裏に締結され、FTAについても早期に締結されることを希望する旨を発表している(注279)。

 (韓国)
 1998年11月、第1回日韓閣僚懇談会の場において、日韓FTA構想について議論されたことを受け、同年12月より両国の日本貿易振興会アジア経済研究所と韓国対外経済政策研究院(KIEP)による「21世紀日韓経済関係研究会」が発足、日韓FTAに関する共同研究が開始された。2000年5月に共同コミュニケにより発表された両国報告書によると、いずれも日韓FTAの実現にはいくつかの懸念材料も伴うという前提を置きつつも、同FTAは関税撤廃効果のみならず、外資誘致、競争促進、生産性向上といった諸効果、あるいは日韓両国の対世界貿易収支の改善(黒字増)をもたらすといった各種メリットが示された。また2000年9月に金大中大統領が来日した際に行われた首脳会談においては、「日韓FTAビジネス・フォーラム」の設置について合意がなされた。経済界を中心に構成されている同フォーラムは、今後、日韓FTAに関する両国内の世論を喚起することを企図している。
 また、韓国との間においても1999年から二国間投資協定の交渉が開始されており、透明性・実効性が確保された高い規律の協定を目指して現在両国間で交渉が行われている。

 (チリ)
 チリは既にカナダ、メキシコ等とFTAを締結しているほか、米国やEU、EFTA、韓国とも交渉を開始している等、地域の枠を越えた二国間のFTAを積極的に推進している。我が国についても、1999年11月にバルデス外務大臣が来日した際、日本・チリFTA締結に関する研究開始の検討について提案を行っており、これを受けて日本貿易振興会とチリ外務省が共同研究を行うこととなった。本研究会は2000年5月から開始されており、2001年3月に報告書が発表される予定となっている(注280)。

 (オーストラリア)
 2000年10月、平沼通商産業大臣(当時)とヴェイル貿易大臣との間において、日豪がアジア太平洋地域における重要なパートナーであることを確認、両国において民間で調査・検討を行い、新時代における両国経済関係強化のための方策を幅広く議論することに合意した。この合意に基づき、日豪それぞれが民間の研究会を設置して、調査・検討を行っており、2001年3月を目途にその成果を取りまとめる予定となっている。

第4―3―27表 日本・シンガポール新時代経済連携協定関連の動向
第4―3―28表 日本・シンガポール共同検討会合報告書の提言
第4―3―29表 我が国の二国間関係強化へ向けた取組み

(4) 二国間における取組み

(4) 二国間における取組み

1)日本・シンガポール新時代経済連携協定
 1999年12月8日、日本の小渕総理大臣(当時)とシンガポールのゴー・チョクトン首相との間の首脳会談において、両国の産学官の専門家により日本・シンガポール間のFTAについて共同研究を開始することが合意された。この合意に基づき、2000年3月から半年にわたり計5回の合同検討会合が開催され、同年9月に最終報告書が公表された(第4―3―27表 )。その検討会報告書では、関税撤廃といった伝統的なFTAの範疇にとどまらず、投資、競争、貿易手続の電子化、電子商取引関連制度調和、人の移動の円滑化等、新分野を含む幅広い協力の必要性をうたっていることから、日本・シンガポール間の協定を「新時代経済連携協定:The Japan-Singapore Economic Partnership Agreement(JSEPA)」と称している(注275)(第4―3―28表 )。この報告書を受け、2000年10月22日に行われた首脳会談では、協定締結のための正式な交渉を2001年1月に開始し、遅くとも2001年末までに終了すべきことが決定された。この首脳会談の決定を受け、既に第1回交渉が1月31日から2月1日にかけて行われており、4月には第2回交渉が予定されている(注276)。

2)その他の国との二国間関係強化(注277)
 (メキシコ)
 1998年11月にセディージョ大統領(当時)が訪日した際に、日墨間での自由貿易協定及び投資協定の検討について提案がなされたことを受け、自由貿易協定について日本貿易振興会とメキシコ商工振興省(現経済省)が共同研究を行い、2000年4月に共同で報告書(注278)を発表した。さらに、2001年1月に平沼経済産業大臣がメキシコを訪問した際に、デルベス経済大臣からFTAの早期交渉開始に関する提案があり、当面両国間で認識を深めていくため、広範な分野を対象とする協定について研究会を開始することについて両国の政府部内においてそれぞれ検討がなされている。投資協定については、既に1999年より交渉が開始されており、両国で鋭意協議中である。
 なお、メキシコはNAFTAに加え、2000年7月にEUとの間でもFTAを発効させており、メキシコに進出及び輸出を行っている日本企業の競争条件は厳しくなりつつある。このような中、経済団体連合会は現在交渉中の投資協定が成功裏に締結され、FTAについても早期に締結されることを希望する旨を発表している(注279)。

 (韓国)
 1998年11月、第1回日韓閣僚懇談会の場において、日韓FTA構想について議論されたことを受け、同年12月より両国の日本貿易振興会アジア経済研究所と韓国対外経済政策研究院(KIEP)による「21世紀日韓経済関係研究会」が発足、日韓FTAに関する共同研究が開始された。2000年5月に共同コミュニケにより発表された両国報告書によると、いずれも日韓FTAの実現にはいくつかの懸念材料も伴うという前提を置きつつも、同FTAは関税撤廃効果のみならず、外資誘致、競争促進、生産性向上といった諸効果、あるいは日韓両国の対世界貿易収支の改善(黒字増)をもたらすといった各種メリットが示された。また2000年9月に金大中大統領が来日した際に行われた首脳会談においては、「日韓FTAビジネス・フォーラム」の設置について合意がなされた。経済界を中心に構成されている同フォーラムは、今後、日韓FTAに関する両国内の世論を喚起することを企図している。
 また、韓国との間においても1999年から二国間投資協定の交渉が開始されており、透明性・実効性が確保された高い規律の協定を目指して現在両国間で交渉が行われている。

 (チリ)
 チリは既にカナダ、メキシコ等とFTAを締結しているほか、米国やEU、EFTA、韓国とも交渉を開始している等、地域の枠を越えた二国間のFTAを積極的に推進している。我が国についても、1999年11月にバルデス外務大臣が来日した際、日本・チリFTA締結に関する研究開始の検討について提案を行っており、これを受けて日本貿易振興会とチリ外務省が共同研究を行うこととなった。本研究会は2000年5月から開始されており、2001年3月に報告書が発表される予定となっている(注280)。

 (オーストラリア)
 2000年10月、平沼通商産業大臣(当時)とヴェイル貿易大臣との間において、日豪がアジア太平洋地域における重要なパートナーであることを確認、両国において民間で調査・検討を行い、新時代における両国経済関係強化のための方策を幅広く議論することに合意した。この合意に基づき、日豪それぞれが民間の研究会を設置して、調査・検討を行っており、2001年3月を目途にその成果を取りまとめる予定となっている。

第4―3―27表 日本・シンガポール新時代経済連携協定関連の動向
第4―3―28表 日本・シンガポール共同検討会合報告書の提言
第4―3―29表 我が国の二国間関係強化へ向けた取組み

(3) 地域的なフォーラムの活用(APEC、東アジア、ASEM)

(3) 地域的なフォーラムの活用(APEC、東アジア、ASEM)

1)アジア太平洋経済協力(APEC)
 1989年に12か国で発足したアジア太平洋経済協力(APEC)の参加国は、現在21のエコノミーにまで拡大している。APECは他の地域統合とは異なり、参加国の自主性を重んじ、域外に対しても貿易投資の自由化の成果を均てんするという「開かれた地域主義(open regionalism)」を標榜している。こうした考え方に基づき、1994年の第2回首脳会議において採択されたボゴール宣言(注264)に続き、1995年には大阪行動指針が、1996年にはマニラ行動計画が採択され、APECは各種のビジョンを具体的な行動へと移す段階に入っている。
 2000年にブルネイにおいて行われた閣僚会議、首脳会議の成果としては、主に次の2点が挙げられる。第一の成果は、2001年中にWTOの新ラウンドを立ち上げることを確認するとともに、WTOに対する信頼を醸成するために途上国に対するキャパシティ・ビルディングのための協力を開始する等、APEC としてWTO新ラウンドを支える姿勢を明確に示したことである(注265)。第二の成果は、ニュー・エコノミー、電子商取引、経済法制度整備、中小企業・新規事業支援等の分野で、経済環境の変化に対応しながら構造改革を図るための具体的な協力活動路線を確立したことである。ともするとAPECの活動はこれまで理念先行型であったが、近年の協力の具体化は、発足から10年余を経過したAPECの成熟を示すものであろう(注266)。
 前述のとおり、WTOの場において自由化交渉を実施し、貿易関連ルールを拘束的なものとして定着させるためには相当の時間を要する。したがって、我が国としては、アジア諸国に加え米州諸国等も広く参加しており、各専門分野の検討を行う委員会体制が構築されているAPECという非拘束的な組織において自由化や原則の設定を行い、地域内で統一された制度を早期に定着させていくためのフォーラムとして柔軟に活用していくことも有効であろう。

2)東アジア(ASEAN+3、日ASEAN)
 (ASEAN+3)
 日中韓ASEAN首脳会議(ASEAN+3首脳会議)は、1997年のASEAN首脳会議の際にASEAN側が日本、中国、韓国の首脳を招待して初めて開催され、それ以降毎年開催されている。1999年には、日中韓ASEAN首脳会議として初めて「東アジアにおける協力に関する共同声明」を採択し、 2000年からは首脳会議以外にも外務大臣会合、経済大臣会合、大蔵大臣会合が毎年開催されることとなった。
 2000年11月のASEAN+3首脳会議においても、東アジアにおける地域協力の強化が主要な議題となり、森総理大臣(当時)からは、東アジアにおける協力の原則として、1)パートナーシップの構築、2)開かれた地域協力、3)将来の方向性としての政治・安全保障も含む包括的な対話と協力の3点が提唱された。加えて森総理大臣(当時)は、IT分野について、「東アジア産官学合同会議」の開催、及び日中韓ASEAN経済大臣会合(AEM(注267)+3)で賛同を得たアジア共通のIT技術者評価基準構築に向けた支援(注268)を表明、また金融分野においては、チェンマイ・イニシアティブ(注269)として合意された通貨スワップの取決め等の基本原則を評価し、ASEAN事務局に対して域内金融協力強化のための資金協力を行う考えを表明した。このほか、同首脳会議において、将来的にASEAN+3首脳会議を「東アジア・サミット」として開催すること、「東アジア自由貿易投資地域の形成」へ向けた研究の実施についての提案もなされ、これらの点を含めて東アジアにおける協力の具体的あり方について、金大中韓国大統領より提案のあった「東アジア・スタディ・グループ(East Asia Study Group)」において中長期的な観点からも検討を行うことで合意された。
 2000年5月及び10月に開催されたAEM+3においては、東アジアにおける経済分野での協力の基本方針として、貿易・投資、IT、中小企業の3分野に重点を置くことに合意するとともに、WTO新ラウンドを始めとする国際的な経済問題に関する意見交換がなされた。こうした議論を受け、2001年1月にマレイシア・クアラルンプールにおいて、WTO新ラウンドに向けたアジェンダへの理解促進を目的とした「WTO教育セッション」が開催された。

 (日ASEAN)
 日ASEANの間の経済分野における取組みの1つとして、1992年から日ASEAN経済大臣会合(AEM-MITI)(注270)がおおむね毎年開催されている。また1994年には、インドシナ諸国及びミャンマーのASEAN加盟促進支援を目的とした産業協力のための官民ワーキンググループ(注271)の設立を提唱する等、我が国はこの地域における協力を積極的に推進してきた。1997年にラオス及びミャンマーがASEANに加盟したこと、並びにアジア通貨危機の際に日ASEANの経済関係の深化・拡大が改めて認識されたことを受け、AEM-MITIの下に日ASEAN経済産業協力委員会(注272)(AMEICC(注273)) が発足し、1998年にタイ・バンコクにおいて第1回会合が開催された。これ以降、AMEICCの枠組みの下では、自動車、家電、化学等主要セクターにおける官民対話の実施や、人材育成、中小企業・裾野産業支援、メコン河流域の西東回廊開発のためのワーキンググループの設立、特許分野、標準・認証分野における意見交換・協力等、広範な範囲にわたる協力がなされている。
 ASEAN+3、日ASEAN等の様々なフォーラムにおける活動を通じ、今後我が国が東アジアにおける対話や協力関係を幅広いレベルで積み重ねていくことは、経済の相互依存関係が深化している東アジア地域における貿易投資の一層の拡大・円滑化、及びアジア諸国との経済関係強化の観点からも有用であろう。

3)アジア欧州会合(ASEM)
 1996年3月にタイ・バンコクにおいて第1回首脳会合が開催されたアジア欧州会合(ASEM)は、アジアと欧州の相互交流の促進及び発展を図ることを目的としており、両地域は対等な立場で経済、政治、文化面に関する包括的な対話と協力活動を行っている。
 経済分野については、1997年9月に我が国で開催された第1回経済閣僚会合において、貿易円滑化行動計画(TFAP)(注274)、及び投資促進行動計画(IPAP)を2本柱とする枠組みが合意された。1998年4月にイギリス・ロンドンで開催された第2回首脳会合では、「アジア欧州協力枠組み」が採択され、ASEM活動の具体的な進め方が規定された。また1999年10月にドイツ・ベルリンで開催された第2回経済閣僚会合においては、TFAPの優先7分野、及び各国によりリスト化された「対内直接投資促進のための最も効果的な施策9項目」について自主的に講じた改善措置を毎年報告し合う新たなアプローチの導入が決定された。2000年9月に韓国・ソウルで開催された第3回首脳会合では、経済閣僚会合、外相会合、財務相会合の開催頻度が2年に1度から各年開催に変更されており、本年秋にはヴィエトナムで第3回経済閣僚会合が開催される予定である。
 このように、ASEMの各閣僚会合の体制は近年強化されつつあるが、例えばAPECと比較した場合、1)事務局が設置されていない(調整団が連絡・調整を行う)、2)個別問題に対応して設置された会議等の開催数が少ない、等の違いがある。欧州統合が進展する一方で、アジアの中でもASEAN+3、日 ASEAN等の協力の枠組みが構築されつつある現在、アジアと欧州の橋渡しをするASEMの重要性は高まっており、今後、ASEMの更なる活動の充実が期待されている。

(2) WTOの信頼性向上と次期交渉ラウンドの立上げ

(2) WTOの信頼性向上と次期交渉ラウンドの立上げ

1)WTOの信頼性向上
 前述のとおり、WTO協定が着実に履行され、その信頼性を向上させることが、我が国が引き続き自由貿易の恩恵を享受するための必要条件である。そのための第一の課題は、加盟国の大部分を占める途上国のキャパシティ・ビルディングである。途上国の能力向上については、前節において21世紀におけるルール・メイキングの課題の1つとして検討を行った。そこでも述べたとおり、ウルグァイ・ラウンドによって既に大幅に強化・拡充されたWTO協定は、途上国を含むすべての加盟国により着実に履行される必要がある。途上国に対しては、TRIM協定や、TRIPS協定等において、協定の履行を一定期間猶予することで、対応への時間を提供する枠組みが用意されているが、依然としてWTO協定の履行に関し何らかの困難に直面している途上国が多い。これを放置することは、結果的にWTO体制の信頼性を傷つけ、先進国と途上国の分裂を招きかねないため、途上国のキャパシティ・ビルディングへの支援を国際的に強化していくことが急務となっている。
 この観点から、我が国は、APECを活用し、途上国の個々のニーズに的確に対応するキャパシティ・ビルディングに関する「戦略的APEC計画」を策定し、昨年の閣僚会合での承認を受けたところであり、今後、順次実施に移すこととしている。また、後発途上国に対しては、WTOや世界銀行、
IMF、UNCTAD等が参加する支援プログラムである「統合フレームワーク」も推進されている。こうした支援を通じて、途上国のWTO協定履行能力が向上し、WTO体制が一層安定化することが期待される。また、途上国サイドからは、履行が困難な協定を中心に、その規律の柔軟化・弾力化を求める動きがある (いわゆる「実施問題」)。本来、途上国に対してのみ弾力的な規律の運用を認めることは、規律が先進国・途上国で分断されることにつながりかねず、WTO 体制の普遍性・公平性維持の観点から好ましいこととは言えない。しかしながら、他方、途上国の実情に一定の配慮を行っていくことも重要であり、いかなる対応が可能か、後述する次期交渉ラウンド立上げとも関連づけながら、真剣に検討していくことが必要であろう。
 第二に、WTOの信頼性向上の観点から避けて通れないのが、地球環境問題を始めとする社会政策的な目標との調整の問題である。これらの問題については、第3章第2節において詳しく論じたところであるが、WTOは基本的に、貿易を促進することを通じて国際的な経済活動を活性化することを任務とする国際機関である。しかしながら、地球環境問題や、文化の多様性の維持、人権の擁護等が、グローバリゼーションの負の側面として意識されるにつれ、WTO体制においても、こうした問題意識に的確に対応すべきとの議論が活発化している。また、WTO体制を通じて地球環境や人権を守るべく、貿易制限を正当化させようとする動きもある。こうした問題意識が一気に噴出したのが、シアトル閣僚会議(1999年11月から12月)であった。もとより、グローバリゼーションに伴う責のすべてをWTO体制に帰することは適当でない。また、各国政府の取り組むべき課題と国際機関の対応を混同することも非建設的である。しかしながら、 WTO自身も、環境問題を始めとする非経済的な価値に一定の配慮を行うメカニズムを内在していることから、今後とも、こうした問題意識を適切に受け止めていく努力が求められる。

2)次期交渉ラウンドの立上げ
 現在、国際的に、次期交渉ラウンド(「新ラウンド」)を立ち上げるための努力が続けられている。我が国は、WTO新ラウンド交渉を、21世紀における新たな国際経済秩序を形成する上で、極めて重要な交渉ととらえている。したがって、2001年11月にカタールで開催される予定の第4回WTO閣僚会議において新ラウンドを立ち上げるべく、引き続き努力を傾注しているところである。我が国としては、新ラウンドは、1)ルールが未整備な分野におけるルール整備、2)途上国問題等への取組みによるWTO体制の安定化、3)国内経済の活性化、4)保護主義の顕在化の抑止、等の意義を有するものと認識している。
 第一に、グローバリゼーションの進展に伴い、WTOにおいて新たなルール整備が必要な分野が顕在化してきた。その典型が、投資ルール、競争ルール、電子商取引に関するルール等である。この3分野については、前節においてその重要性を詳しく検討したが、いずれの分野についても、現在、作業部会等を通じた作業は進展しているものの、包括的な多国間ルールは存在していない。こうした分野におけるルール・メイキングを進める観点から、新ラウンドは貴重な機会であると位置づけられる。
 第二に、前述のとおり、環境問題等の世界経済の発展に伴うひずみや途上国の能力向上といった課題については、WTOとして的確に対応していく必要があるものも含まれている。中には、WTO協定と他の多国間環境協定の整合性確保等、交渉を通じて実現すべきものもあろう。こうした課題への対応にとって、新ラウンドは重要な機会となる。
 第三に、閉塞状態にある国内経済を活性化させる上で、新ラウンドにおける取組みは国内外の競争環境の更なる整備を通じて大きな役割を果たし得る。同時に、新ラウンドにおける交渉は、我が国がより効率的、効果的な規制のあり方を見直す機会となろう。
 第四に、保護主義の抑止である。米国経済の退潮の中で、国際的に保護主義が顕在化することが強く懸念される。保護主義的な圧力に対して、現行の
WTO体制は決して盤石と言い切れるわけではない。したがって、WTO体制を安定的に維持・発展させるためには、貿易自由化及び貿易関連のルール整備に対する努力を続け、保護主義的な動きを常に相殺していくことが不可欠である。特に、アンチ・ダンピング(AD)措置に関しては、その発動件数が世界的に増加傾向にあり、1993年末時の660件から、1999年末時点では1.7倍増の1,148件へと増加している。これを発動国の数で見ると、1993年末の 12か国・地域から、1999年末時点では、2.3倍増の28か国・地域へと増加している。特に、旧来からAD措置を多用してきた米国、EU等に加えて、開発途上国によるAD措置の発動も目立っているのが近年の特徴である。この結果、旧来の発動国が被発動国となっている場合も少なくない。今やEUは被発動件数が発動件数を大幅に上回っており、米国も鉄鋼を除いて同様の状態にある。第4―3―25表 は、AD調査を最も数多く受けている上位10か国の一覧であるが、これを見てもわかるとおり、米国も中国に次いで最もAD調査を受けている国となっている。また、米国に対するAD措置の特徴としては、第一に化学、医薬品に対する発動が多く、第二に先進国のみならず途上国による措置が半数近くを占めていることが挙げられる(第4―3―26表 )。
 本来AD措置は、最恵国待遇の例外措置であり、ダンピングによる国内産業の損害の除去という限定的な目的のために認められた制度である。またAD措置は、国内産業の保護を目的としたセーフガード措置の発動と異なり、1)相手国に対する補償の提供、2)相手国による対抗措置の受認等が求められていないため、その発動には細心の注意が払われるべきである。しかしながら、今日、必要な要件を満たさないままAD調査を開始する、あるいは発動後に必要な要件が満たされなくなった後にもAD課税を維持する等の濫用が目立っている。こうしたAD措置の濫用は、ダンピングマージン計算や損害認定等の調査手続が技術的かつ複雑であることに加えて、これらの手続きを規定するAD協定の内容が十分詳細でないことに起因している場合が多い。このため多くのWTO加盟国は、AD 措置に関するWTO上の規律を強化し、AD措置の限定的な目的を超える保護主義的・輸入制限的な運用を防ぐことについて関心を抱いている。このように既存ルールの規律を強化することは、既存の交渉で積み上げられた貿易自由化の恩恵を確実なものとし、更に拡大させることにもつながると考えられる。新ラウンドは、これを実現させるための重要な枠組みを提供するものとなろう。
 なお、こうした新ラウンドに対する各国の期待と参加のインセンティブを確保するためには、すべての加盟国が、新ラウンドに参加することによって自らの関心を実現し得る、との意識を持てるような、交渉項目・交渉方式・交渉スケジュールを設定していく必要がある。このためには、まず、多様な経済発展水準にある各加盟国の広範な関心事項に適切に対応して、交渉のアジェンダを十分に広範なものとして設定することが不可欠となろう。また、新ラウンド立上げを円滑に進める前提として、前述のとおり、WTOに対する信頼を維持・強化していくことが重要であろう。

第4―3―25表 アンチ・ダンピングの被調査件数上位10か国
第4―3―26表 対米国AD調査件数及び途上国による調査の割合

3.21世紀における対外経済政策の挑戦 国家の基本戦略を達成するプロセスの延長線上にあるというメッセージ

3.21世紀における対外経済政策の挑戦

 以下では、本節1.の部分で整理した外部環境の変化を踏まえた場合に、今後我が国が重層的な対外経済政策を推進することの狙いと、WTO、地域(APEC、東アジア、ASEM)、二国間という各フォーラムにおける我が国の取組みの現状と今後の課題について整理する。



(1) 重層的なフォーラム活用の狙い

 従来我が国は、WTOにおけるルール・メイキングを主軸に据えた対外経済政策を展開してきている。こうした方針を採用してきた背景には、20世紀初頭における保護貿易主義が第二次世界大戦勃発の1つのきっかけとなったという過去の経験を繰り返してはならないという考え方、また、天然資源に恵まれず、貿易に依存しなければ国家の存立が困難であるという宿命を背負った我が国にとって、安定した多国間での貿易秩序形成が最も重要であるという考え方が存在している。新世紀を迎えた現在に至っても、主に以下で述べる2つの理由から、我が国にとってのWTOの役割は依然として大きい。
 第一に、WTOのルールは、自由貿易を実現する上で不可欠な原理原則(注256)及び手続きを定めた唯一の多国間の取決めである。このことは、WTO加盟国の数が増加し、加盟国間の関心項目が多様化しつつある今日も変わらぬ事実である。世界大の自由化を目指す上で、仮に各国が二国間FTA/EPAの締結のみに頼る場合、世界全体で莫大な数のFTA/EPAを締結する必要があるのみならず、グローバルに活動している企業が世界中で一貫した貿易秩序の恩恵を享受できなくなるということは想像に難くない(第4―3―22図 )。
 第二に、従来我が国はWTOの紛争処理制度から多くの恩恵を享受してきた。パネルという形で第三者が関与し、中立的かつ明確な基準に従って手続きが進められるWTOの紛争解決手段は、いかなるFTA/EPAによっても代替され得ない。むしろWTOによる法の支配、紛争解決手段が機能するという前提が存在したからこそ、我が国はこれまで地域、二国間の安定的な貿易秩序を維持することが可能であったととらえるべきである。したがって、我が国が21世紀においても引き続き自由貿易の恩恵を広く享受していくためには、WTO協定の信頼性向上と履行の確保を通じて多角的な貿易秩序の維持拡大に努めていくことが必要条件となる。
 他方、閉塞状態にある日本経済を再活性化させるためには、国内市場と海外市場におけるビジネス環境を同時並行的に整備していくことが不可欠であり、我が国はこうした国家目標を見据えながら常に最適な対外経済政策を立案・実施していく必要がある。しかしながら、本節1.の部分で述べたようなWTOにおける交渉の機動性の低下、及び諸外国における戦略的なFTA締結の動き、という2つの大きな外部環境の変化に伴い、我が国がWTOという場のみに依存することは「日本経済の再活性化」という国家目標を確実かつ迅速に達成する上での必要十分条件ではなくなりつつある。むしろ、以下に示す5つの理由により、WTO のみならず地域あるいは二国間における各フォーラムを柔軟に活用しながら、対外経済政策を展開していく必要がある。

1)新たな通商ルールの迅速な策定
 第一の理由は、WTOルールにおいて秩序が形成されていない新たな通商問題に対応するための、迅速な制度構築の必要性である。例えば、前節で紹介したとおり、現在のところWTOにおいては電子商取引関連の国際的なルールが構築されていない。しかしながら、ビジネス・モデルや技術革新のスピードが速いこうした分野において機動的な制度構築がなされない場合、円滑な貿易投資活動や十分な消費者保護が阻害されるおそれがある。迅速なルール・メイキングが求められている分野については、官民で適切に役割を分担しつつ、国内の産業界や消費者のニーズに即した高度な通商関連ルールを、地域、二国間レベルにおいて補完することが求められている(注257)。

2)多角的自由化のモメンタムを維持する手段
 今日の地域及び二国間におけるFTA/EPA締結の動きは、世界的な自由化を否定するためのものではない。したがって、こうした動きを「20世紀初頭に起きた経済のブロック化の再来」ととらえるのではなく、むしろWTOと地域・二国間協定の締結が互いに刺激を与え合う結果、世界的な貿易自由化が促進されるという、相互補完的な役割を果たすものとしてとらえる必要がある。歴史的にも、EC設立に向けた動きがGATTのケネディ・ラウンドや東京ラウンドにおける米国の交渉イニシアティブを促し、NAFTA設立の動向がGATTウルグァイ・ラウンド交渉を加速させたという経緯がある(注258)。また先般のAPEC閣僚・首脳会議において見られたように、地域的な協力関係を強化していくことは、多角的自由化交渉の開始に向けた建設的な環境作りを行い、政治的な確認・宣言を行う上でも有効であろう。

3)国際的な制度構築の経験の蓄積と多角的通商ルールへのフィードバック
 第三に、地域及び二国間において高度な通商ルールを策定する過程で得られるノウハウや経験は、将来の通商交渉において活かすことができる。例えばこうしたノウハウや経験は、多国間でルール・メイキングを行う際に、諸外国の合意を形成する段階において知的貢献を行い得る。また、国際的な交渉やルール・メイキングについて我が国が経験を積むことは、将来の他の交渉において我が国が主導権を取りながら交渉を迅速に進め、我が国発のルールを積極的に発信していくことを可能とするであろう。同時に、二国間や地域における通商ルールを策定することで、地域内における協力関係強化を図ることにより、多国間交渉の場において当該地域や当該国間で協調的な交渉行動を行うことが可能となり、ひいては地域ごとの特性が適切に踏まえられたバランスの取れた国際貿易秩序を形成することが可能となる。

4)FTA/EPAを締結しないことによる不利益の回避
 第四の理由は、FTA/EPAを締結していないことにより我が国産業が被っている実害を除去する必要性である。例えば、メキシコはNAFTAの加盟国であるほか、EU、EFTAとの間でもFTAを締結している(前掲第4―3―3表)。この結果、我が国企業がメキシコに対して輸出を行う場合(注259)、メキシコが既にFTAを締結している国と比較して高い関税が賦課されており、ビジネス上の不利益(注260)を強いられている(第4―3―23表 )。
 このような状況の中、我が国産業界からもNAFTA及びEU域内の競合企業とコスト面での平等な競争条件を確保するために、メキシコとのFTAを締結すべきとの要望が出されている(注261)。またメキシコ以外にも、イスラエル及びジョルダンは既に米国及びEUとの間でFTA等を締結しているほか、その他5か国が米国及びEUとのFTA締結に向けて交渉中である。このように、主要国の中で我が国だけFTA/EPAを締結しないということは、我が国企業がコスト面で競争上の不利益を被る可能性のある外国市場が拡大していくことを意味する(第4―3―24表 )。

5)国内構造改革の促進剤
 第五の理由は、我が国が構造改革を早期に実現させる上での必要性である。EPAや投資協定等の締結に伴う域内障壁の撤廃は、各国の資本や経営者、先進的な技術やノウハウの日本への流入をもたらし、競争促進に伴う国内企業の自己革新努力により、国内経済の活性化を促すことが期待される(注262)。同時に、こうした協定締結へ向けた研究及び交渉を通じて相手国の先進的な制度に触発され、国内の遅れた分野の制度改革が促進される効果も期待される。
 ただし、国内構造改革を促進するためにはこうした協定を締結するだけでは不十分であり、対外政策の方向性と整合性の取れた国内経済政策を同時並行的に推進することが必要となる(第4章第1節参照)。例えば第1節のコラム9において紹介したとおり、シンガポール政府は21世紀の明確な基本戦略(注263)を公表しているが、各国とのFTA締結についても一過性のものではなく、あくまで国家の基本戦略を達成するプロセスの延長線上にあるというメッセージを、各種発言や実際の行動を通じてマーケットに対し明示的・暗示的に常に発信し続けている。このような政策の方向性に関する一貫性と実績は、マーケットからの高い評価や信頼を獲得するとともに、投資家にとっての各種不確実性を減少させるという意味において、協定の動態的効果を最大化する上でも極めて有益であろう。

第4―3―22図 世界大の自由化を達成するために必要な協定の数
第4―3―23表 メキシコにおける主要品目の関税率
第4―3―24表 米国・EU双方とFTA等を締結している国

既存の地域統合の経済効果を実証面の分析から見てみる

(2) 既存の地域統合に関する実証分析

 次に、既存の地域統合の経済効果を実証面の分析から見てみる。理論面の分析で指摘された数多くの経済効果の有無や大きさは、各統合地域の経済条件に応じて異なる。また、各FTAには地域の実状を反映した期待や懸念も数多く伴っていたと考えられる。したがって、地域統合の効果をより綿密に論じるためには、各国各地域の特性を十分に勘案しなくてはならない。特に、発展段階の異なる先進国と途上国との間の地域統合と、発展段階が似通った先進国間(あるいは途上国間)の地域統合では、統合に対する期待や懸念、あるいは実際の効果も大きく異なると考えられる。先進国と途上国の双方を含む地域統合の代表はNAFTA であり、先進国同士の経済統合の代表はEUである。以下ではそれら2つの統合地域に関して、統合以前に指摘されていた期待・懸念及び経済効果の予測に関する実証分析を整理するとともに、現実の経済指標を見ることにより経済効果の事後的評価を行う。EUに関しては、1992年の市場統合に焦点を絞ることとする。

1)NAFTA
 (期待と懸念)
 1991年に交渉が始まり1994年に発効した北米自由貿易協定(NAFTA)は、先進国(米国・カナダ)と途上国(メキシコ)の双方が含まれ、所得水準や賃金水準・生産要素の利用可能性といった経済諸条件の異なる国同士の経済統合である。異なった発展段階にある国同士の経済統合は、技術水準や生産要素利用可能性の格差により、比較優位に沿った生産特化を促進し、域内貿易の拡大を通じて域内の資源配分の効率化をもたらす。また、生産要素の移動を通じて要素価格の差の縮小が実現することも予想される。
 NAFTAに対する期待としては、1)米国及びカナダとメキシコとの間の賃金格差の縮小とそれによる米国への不法移民数減少、2)経済統合がメキシコの政治的安定や経済改革を押し進めることを通じたメキシコ市場の不確実性の減少、3)その結果としての対メキシコ直接投資の促進と、それによる同国の経済発展等が指摘されていた(注247)。
 一方、懸念としては、例えば相対的に労働力(非熟練)が豊富であるメキシコとの間の貿易拡大が北米地域における生産調整をもたらし、1)米国及びカナダの非熟練労働者の失業増加及び賃金低下、2)労働及び環境基準が緩いメキシコへの生産移転による、同国における労働環境の悪化及び環境破壊の進展等の指摘がなされていた。

 (NAFTAの効果に関する実証分析のサーベイ)
 上記に示した様々な期待や懸念の信憑性を図るために、これまでNAFTAの効果については多くの定量的な試算がなされてきた(第4―3―16表 )。
NAFTAの効果に関する試算の前提としては、関税障壁の除去のみを考慮したものから、投資の自由化や資本蓄積までを考慮したものまで様々なものが存在する。以下では、それら試算の前提の違いを考慮しつつ、代表的な経済指標について分析の結果を見ていくことにする。
 まず、NAFTA締結が実質所得に与える影響を見ると、米国・カナダ・メキシコすべてにおいてプラスの結果が算出されており、特にメキシコへの影響が大きいという結果が多い点が注目される。これは、NAFTA以前に既に米加FTAが結ばれており、自由化の影響はメキシコにおいて相対的に大きいこと、あるいは経済規模の小さい国ほどFTAの利益をより強く享受できること等が関係していると思われる。また、分析の前提として関税障壁のみならず非関税障壁の撤廃も含める場合、投資自由化によりメキシコへの直接投資が促進されるという動態的な側面を考慮した場合には、より大きな効果が生ずるとの試算結果が得られていることから、非関税障壁除去や投資が果たす役割の大きさを示唆している(第4―3―8表 )。
 貿易パターンの変化に関しては、多くの場合NAFTA域内の貿易については拡大するとの試算結果が認められた一方、域外との貿易に関しては拡大・縮小という両者の結果に二分されている(注248)。しかしながら、域外に対する貿易量の変化は相対的に小さいことから、貿易転換効果が存在したとしてもごく僅かであったことが示唆される。
 要素価格の変化に関しては、メキシコと米国・カナダ間の賃金格差の縮小がもたらされるものの、規模の経済等による生産性上昇によりNAFTA各国とも絶対値で見ると賃金は上昇している。さらに、雇用量は各国とも上昇するため、メキシコとの貿易による先進国における雇用不安・賃金下落はもたらされないとの試算結果が示されている。

 (経済効果の事後評価(注249))
 まず実質GDPの変化について、NAFTA各国の実質GDPの推移を見ると、メキシコが通貨危機に陥り一時的に成長率を大きく下げたものの、1990年代に入り堅調な増加を見せていることから、
NAFTAがプラスの影響をもたらした可能性がある。さらに、1982年の通貨危機と比較して、1995年の通貨危機発生時にメキシコ経済の回復が早かったことも、NAFTAのプラスの影響が働いていた可能性を示している(第4―3―9図 )(注250)。
 貿易パターンに関しては、域内貿易と域外貿易の割合とその平均増加率を比較すると、1985年から1990年までは域外貿易の平均増加率が域内貿易を上回っていたのに対し、1990年代は逆に域内貿易の増加率が上回っている。その結果、1990年から1999年にかけて域内貿易比率は41.4%から 53.9%へと大きく増加している(第4―3―10表 )。また1985年から1997年におけるNAFTA各国間の貿易シェアの変化を見ると、米加間、加墨間の輸出・輸入シェアはほとんど変化していない一方で、米墨間の貿易については非常に大きな上昇が見られる(第4―3―11表 )。
 直接投資に関しては、世界全体の直接投資受入額に占めるNAFTA諸国の受入額の割合は、1990年以降に堅調に増加していることから、直接投資ホスト地域としてのNAFTAの重要度が高まっていることを示している(第4―3―12表 )。また、米国の対メキシコ投資は、1995年の通貨危機により一時的に減少したものの、投資金額及び対世界シェアともに1994年のNAFTA発効以降に堅調な増加を見せている(第4―3―13図 )。
 最後に、雇用量と賃金に関しては、1)NAFTA締結により職を失った労働者に対する援助プログラム(注251)の利用者は、同時期の全米におけるレイオフの数の0.01%以下と非常に小さかったこと(注252)NAFTA発効以降各国の失業率が趨勢的に減少していること(第4―3―14表 )、3)米国・カナダの実質賃金がほとんど変化していないことから、メキシコとの貿易増大が全体で見て米国・カナダの労働者に深刻な影響を与えたとは言えないであろう。なお、メキシコの実質賃金はNAFTA発効後低下しているが、通貨危機による影響を割り引いて考えなければならないことに注意が必要である (第4―3―15図 )。

2)EU
 (期待と懸念)
 1987年の単一欧州議定書の発効により、欧州では1992年末までに域内単一市場を形成するプログラムが実施に移され、この結果関税同盟 (Customs Union)であったECは共同市場(Common Market)へと発展し、その後経済同盟(Economic Union)へと統合を深化させてきた。域内国の発展段階が非対称的なNAFTAに対して、EUは発展段階が比較的近い先進国によって構成されており、域内貿易の多くが産業間貿易ではなく産業内貿易であるという特徴を有している。また、まだ歴史の浅いNAFTAと比較した場合、EUの歴史は1957年の EEC(欧州経済共同体)にまでさかのぼることができ、関税・非関税障壁削減による資源配分の効率化と域内貿易の拡大についてはその長いプロセスを通じて既に進展していたと思われる。したがって、1992年市場統合の経済効果に関しては「静態的効果」よりも、市場拡大による規模の経済の増大や競争促進といった「動態的効果」に強い期待がもたれていた(注253)。 逆にEFTA諸国、米国等の域外国は「欧州の要塞化(Fortress Europe)」を懸念し、統合によるEU企業の競争力の増大や、域外国への投資が減少するといった投資転換効果が懸念されていた(注254)。

 (EUの効果に関する実証分析のサーベイ)
 上記の特徴を反映し、EUに関する多くの経済効果の試算は規模の経済と競争促進効果の双方をモデルに組み込んだ形で行われている(第4―3―21表 )。多くの試算結果が市場統合によりEU域内の実質所得が増大することを示している一方、域外諸国、特にEFTA諸国の実質所得が減少するとの試算結果も得られている。また試算結果においては、企業の参入・退出の自由化を通じた競争促進や、市場統合による規模の経済を考慮した場合に、域内外における実質所得への影響が大きいことが示されている。
 また、資本の蓄積をモデルに取り込んだ場合、EUの市場統合により域内投資が活発化する(投資創造効果)とともに、域外、特にEFTA諸国に対する投資が減少するために(投資転換効果)、実質所得に対する影響がより大きくなる傾向にある(第4―3―17表 )。しかし、試算結果における域外国の実質所得の減少幅自体はさほど大きくないことから、「欧州の要塞化」によるコストはさほど大きくないという可能性が示されている。

 (経済効果の事後評価)
 1992年市場統合が実質GDPへ与えた影響を分析したものとしては、EU経済が1975年から1987年までのトレンドで成長し続けた場合の1993年の実質
GDP推計値と、実際の値を比較することにより、統合の効果を間接的に分析した欧州委員会の研究が挙げられる(注255)。この分析結果によれば、従来のトレンドと比較して1993年の経済成長率が1.1%大きくなっていること、また日本と米国についてはトレンドとの乖離幅がそれぞれ約プラス0.2%、マイナス2.0%であったことから、統合が域内の実質所得を上昇させた可能性があると結論づけている。
 貿易の変化に関しては、1985年から1990年までの間で域内貿易比率が7.5%上昇したものの、1990年代は域外との貿易が相対的に増大している(第4―3―18表 )。理由としては、域内貿易は1980年代後半に活発化したため、むしろ1990年代は域内の所得増加による域外からの輸入の増加と、域内の生産量増加による域外への輸出増により、域外貿易が相対的に増大したと推測される。
 EUに対する直接投資に関しては、1987年の単一欧州議定書発効から1990年にかけて大幅に増加した後、近年更に大きな上昇を見せている(第4―3―19図 )。また世界全体の直接投資受入額に占めるEUの割合は1987年から1990年にかけて増加したものの、全世界的に直接投資が大きく増加した1990年代以降は減少傾向にある。一方、EFTA諸国に対する直接投資は趨勢的に上昇しているが、世界全体の受入れに対する割合は1990年代前半に大きく低下していることから、投資転換効果が生じていた可能性が示唆されている(第4―3―19図 )。
 最後に競争促進効果について検証する。EUにおいて期待されていた競争促進が達成された場合、域内同一品目の価格格差が縮小すると考えられる。欧州委員会による報告書は、価格格差を平均からの標準偏差で測ることによりその効果を検証している。分析においては、エネルギー、建設部門においては価格差が拡大している一方で、越境取引が盛んな消費財部門、設備品部門、及びサービス部門における価格格差は縮小しており、1992年市場統合による競争促進効果の存在が指摘されている(第4―3―20図 )。

第4―3―8表 NAFTA締結が域内国の実質所得に与える影響の試算
第4―3―9図 NAFTA各国の実質経済成長率の推移
第4―3―10表 NAFTAの域内・域外貿易
第4―3―11表 NAFTA各国間の貿易シェアの変化
第4―3―12表 世界全体の直接投資受入額に占めるNAFTA諸国のシェアの推移
第4―3―13図 米国の対メキシコ直接投資の推移
第4―3―14表 NAFTA諸国における失業率の推移
第4―3―15図 NAFTA諸国における実質賃金の推移
第4―3―16表 NAFTA締結の効果に関する主な実証分析
第4―3―17表 1992年市場統合が実質所得に与える影響の試算
第4―3―18表 EUの域内・域外貿易
第4―3―19図 EU及びEFTAの直接投資受入の推移
第4―3―20図 EU域内の価格格差の推移
第4―3―21表 1992年の市場統合の効果に関する主な実証分析

現実問題として、FTA等により自由化を補完しない限り世界大の自由化達成は困難

(1) 地域統合に関する経済理論

 FTAを含む地域統合の経済効果は、通常関税引下げを通じて資源配分の効率性に影響を与える静態的効果(static effects)と、生産性上昇や資本蓄積等を通じて経済成長に影響を与える動態的効果(dynamic effects)の2つの効果に分類される。また近年FTAに関する経済分析においては、国内の利益集団の行動をモデルに取り込んだ形の政治経済的理論が多く開発されており、地域統合の拡大と多角的貿易自由化ではどちらが機動的に世界大の貿易自由化に達成し得るかという分析もなされている。こうした理論モデルの中には、FTAに対して肯定的な含みを与えるもの、批判的な含みを与えるものの両者が存在しているが、いずれも今後我が国がEPA等の締結を検討していく際に考慮すべきいくつかの視点を与えている。

1)静態的効果(注228)
 (貿易創造効果と貿易転換効果)
 FTAに伴う域内国間の貿易障壁撤廃は、域内で取り引きされる財・サービスの価格の変化を通じて、域内・域外との貿易量や経済厚生をそれぞれ変化させる。域内障壁の削減に伴い、従来から行われていた域内貿易が更に拡大するケース(貿易創造効果)においては、輸入国の消費者は同じ輸入財・サービスをより安く消費することができ、一方、輸出国の生産者も輸出の拡大による利益を得ることができるため、域内国の経済厚生は上昇する。
 一方、FTAに伴う障壁撤廃は域内に限定されるため、本来ある財を低コストで生産可能な域外国からの輸入に対して関税が賦課される結果、高コストであるが関税が賦課されていない域内国からの輸入に転換され(貿易転換効果)、域外国の厚生のみならず域内国の厚生さえ減少する場合(注229)もある。
 あるFTAの締結が貿易を創造するか、転換するかということは一国の中でも産業ごとに異なっており、最終的な経済厚生がどのように変化するかということは、消費者、生産者等、各経済主体ごとに異なるであろう。同じ生産者の中でも、輸出業者か輸入業者かにより、あるいは財・サービスの競争力の程度によって受ける影響の方向性や程度は異なる。したがって、FTAの経済効果を評価する際には、可能な限り産業別・経済主体別に切り分けた評価を行う必要がある。
 また、理論上世界全体にとっての最適な政策(first best policy)とは、あくまでも域内外を問わず無差別に自由化を行う場合であり、一部の国に対して特恵的に関税撤廃を行うFTAは次善の策(second best policy)であるということにも留意する必要がある(注230)。したがって、FTAの効果を評価する際には、現状の経済厚生とFTAを締結した場合の対比のみならず、一方的な自由化、他の国とのFTA締結、多角的な自由化等、ほかの政策オプションとの相対的な比較を行う必要もあろう。

 (FTA締結のあり方が厚生の変化に与える影響)
 貿易創造効果を最大化するFTAのあり方、あるいは貿易転換効果を最小化するFTAのあり方については、これまでいくつかの提案がなされている。
 域内国の貿易創造効果を最大化し、間接的に域外国への貿易転換効果を最小化するためのFTAのあり方としては、“natural trading partner(NTP)”という考え方が提唱されている(注231)。 NTPという概念は、大きく以下の2通りに定義されている。第一に、締結前に貿易量が大きい国同士がNTPであり、これらがFTAを締結する場合は不自然あるいは恣意的な貿易の流れが発生する可能性が低いため、域内国の厚生が上昇する可能性が高いという考え方である。こうしたNTPの議論は、望ましい FTA締結相手国を判断する上での1つの基準を与えるものである一方で、1)A国の輸出に占める対B国のシェアが大きかったとしても、B国にとっては必ずしもそうではないこと(非対称性の問題)(注232)、 2)貿易障壁やその他の地域統合の影響等により、FTA締結前の貿易量自体が過大(過小)であった可能性もあると考えられること、等の問題点も指摘されている。第二に、地理的に近い国同士がNTPであり、これらがFTAを締結する場合に輸送コストが節約されることにより域内国の厚生を上昇させるという考え方も存在する。これに対しては、FTAがもたらす利益の大きさと、締結国間の地理的な近接性とは無関係であり、むしろ地理的には遠いが、比較優位の異なる国とのFTA締結の方が厚生を上昇させるという反論もなされている(注233)。
 このほか、域外国への貿易転換効果を最小化するためのFTAのあり方としては、ケンプ=ウォン=大山の定理が挙げられる。同定理はFTAにより域外国との貿易が減少した場合、貿易量が元の水準に回復するように域外関税の水準を調節することにより、理論的には貿易転換効果がもたらす負の影響を排除することは可能となるという考え方である(注234)。この定理の最大の貢献は、域外国の厚生を低下させないFTAというものが、理論的に存在するということを初めて示したことであろう。一方、現実の貿易量は多様な要因により日々絶えず変動しており、域外の貿易量が変化しないよう関税をその都度変更することは容易でないという批判もなされている(注235)。
 また、現行のWTOのGATT第24条(注236)は域外国の厚生を保証する上で十分か否かという議論もなされている。例えばFTA締結国の設定する域外関税が低ければ低いほど貿易転換効果は縮小すると考えられるが、現行のGATT第24条で規定されている「域外関税率を引き上げてはならない」という要件は、必ずしも貿易の歪みを完全に除去するための十分条件ではないという批判もなされている(注237)。

 (原産地規則に関する留意点)
 域外に対して共通の関税率を課している関税同盟と異なり、FTAにおいては域内各国が域外に対して独自に関税率を設定することが可能となる。この結果、 FTAにおいては、関税率の低い他の域内国を経由した域外国からの迂回輸入を防止するために、厳格な原産地規則が設定されている。つまり原産地規則の目的は、域外国によるFTAへのフリーライドを防止しながら、域内国が免税措置の恩恵を享受する点にある。
 一方、本来域外の低コスト企業から中間財を輸入し、加工を施した後に他の域内国に輸出をしていたある域内企業が、FTA締結後に原産地規則を適用して関税の無税化の恩恵を受けるために、あえて域内の高コスト企業からの中間財を輸入する場合、貿易転換効果が増大する可能性が指摘されている(注238)。また、ある国が複数のFTAを締結しており、各FTAごとに異なる原産地規則を設定している場合、通関手続きが煩雑になるとの指摘もなされている(注239)。

2)動態的効果
 静態的効果に加え、FTAは生産性の上昇と資本蓄積という主に2つの段階を経て加盟国の経済成長に対して影響を与えるが、このような効果は動態的効果(注240)と呼ばれている。

 (生産性上昇に伴う経済成長)
 FTAが生産性上昇をもたらす要因としては、1)市場拡大効果、2)競争促進効果、3)技術拡散効果、4)制度革新効果が指摘されている。市場拡大効果とは、域内の貿易及び投資障壁が削減される結果市場規模が拡大し、規模の経済が実現することに伴う生産性上昇である。次に競争促進効果とは、安価な財・サービスの流入や外資系企業の参入に伴い国内市場の競争が促進することによる生産性上昇である。また技術拡散効果とは、海外の経営者、技術者等が自国に流入してくる場合に、優れた経営ノウハウや技術が自国に拡散(スピルオーバー)することに伴う生産性上昇である。最後に制度革新効果(注241)とは、FTA締結に向けた研究及び交渉、あるいはFTA締結後の協議等を通じて、加盟国間でより効率的な政策・規制等のあり方に関するノウハウが共有・移転されることに伴う生産性上昇である(第4―3―5図 の左図1))。

 (資本蓄積に伴う経済成長)
 上記のような生産性上昇が生じた場合、加盟国における期待収益率の上昇あるいは不確実性の減少等を通じ、国内投資の増加のみならず直接投資等の形態で海外から資本が流入・蓄積され、当該国の生産量の拡大に寄与する(第4―3―5図 の右図2))。このような資本蓄積は、研究開発投資の増加等を通じて更なる生産性の上昇をもたらす、といった正のフィードバックをもたらし得る。
 一方、FTAにおいて域外産品に対して差別的措置を採用する場合、世界的な直接投資の流れに歪みをもたらす可能性がある(投資転換効果)。例えば、FTAにおいて厳しい原産地規則が存在する場合、域外国から域内への輸出が、域内への直接投資に代替される可能性もあろう。
 なお、関税障壁撤廃を中心とする伝統的な地域統合と比較して、今日のFTAには投資、競争、人の移動、環境、労働等といった新分野のルール(「WTOプラス」の部分)が含まれているが、こうした項目は資本蓄積効果、競争促進効果、技術拡散効果といったFTAの動態的効果を最大化する上でも有効なルールと考えられる。

 以上、FTAの経済効果の基本的な考え方について整理を行ったが、こうした効果の大きさや波及の経路は、協定を締結する相手国の市場規模、経済・技術水準、産業構造により異なるであろう。例えば、関税の自由化は既に進んでいるが、投資意欲が旺盛であり、かつ高度な経営ノウハウ・技術水準を有する先進国とのFTA/EPAにおいては、外国資本の流入や技術・ノウハウの拡散といった動態的効果が期待される。一方、市場規模は大きいが技術水準は低く関税障壁が残存している途上国とのFTA/EPAにおいては、静態的効果の獲得、あるいは規模の経済等を通じた動態的効果が期待される。したがって、FTA/EPA の経済効果を最大化するためには、協定を締結する相手国の特性や協定の内容を踏まえ、それらが資源配分の効率化や、競争促進、規模の経済、技術の拡散、資本蓄積といった経済成長の源泉を得る上で十分か否かという観点から検証を行うことが有効であろう。
 また、動態的効果の中でも、例えば市場拡大効果は相手国側の市場開放に伴って得られる利益であるのに対して、自国内における資本蓄積、競争促進、技術拡散といった効果については、自国市場が外国企業にとっても十分開放的、魅力的なものとなって初めて得られる利益であると言えよう。

3)動学的時間経路の分析(Dynamic Time-Path Analysis)
 FTAの評価を行う際には、域内自由化の効果のみをもって評価するべきではなく、いかに多角的自由化を補完し得るかという長期的な視点から評価を行うべきであろう。このような問題意識に基づいた分析は、動学的時間経路の分析(dynamic time-path analysis)と呼ばれる(注242)。こうした分析はこれまで数多く行われており、FTAが1)多角的自由化を推進する、2)多角的自由化を阻害する、という双方の見解が示されている(第4―3―6表 )。

 (FTAが多角的自由化を推進するとする主張)
 一般的に多角的自由化は、貿易障壁による市場の歪みを残さずに世界全体の厚生を高めるという意味において最適な政策(first best policy)である。しかしながら現実的には、各国は世界大の自由化達成を目標としつつも、多国間の自由化交渉における利害関係の複雑さ故にその実現が容易でない場合もある。その際にFTAの拡大は、1)交渉主体数の減少による交渉の効率化、2)小国の交渉力の増大、3)国内産業調整の進展による衰退産業の政治的反発の減少、4)経済成長を通じた途上国の多角的交渉への参加促進等の理由で、多角的交渉を促進させる可能性がある。また、域外国にとっても、 FTAの規模が拡大するに従い、域外国であり続けることの不利益が増大することにより、FTAへの参加インセンティブがドミノのように連鎖的に高まるとの指摘もある(注243)。

 (FTAが多角的自由化を阻害するとする主張)
 一方、FTAに伴う域外国への貿易障壁の残存が、域内国の価格支配力の増大や国内産業の保護等を通じた利益(レント)を与える場合、FTAは必ずしも多角的自由化を推進しないという指摘も存在している。例えば域内国にとっては、FTAの加盟国数が少ない間は自由化による利益が保護の利益(レント)を上回っているが、加盟国数が一定以上に拡大すると、交易条件の悪化等により逆に自由化の利益が逓減するほか、利益集団等の働きにより世界大の自由化には到達しない可能性があるという主張もある(注244)(第4―3―7図 )。特にFTAに新規加入するに当たり、既存の加盟国の承認を必要とする場合は、上記で懸念されているようにFTA加盟国数の拡大が途中で止まってしまう可能性も否めない(注245)。ただし、こうした問題を回避するための1つの方策として、「新規加盟を希望する国は必ず受け入れなければならない」というルール導入に関する提案もなされている(注246)。
 以上、FTAは多角的交渉を促進し得るか否かという議論について両者の整理を行った。FTAが多角的自由化を推進するという指摘は、各国の最終目標は世界大の自由化であるが、既に多角的自由化交渉の機動性が低下傾向にあるために、現実問題として、FTA等により自由化を補完しない限り世界大の自由化達成は困難であるという考え方に基づいている。一方、FTAが多角的自由化を阻害するという指摘は、必ずしも各国は世界大の自由化達成という目標を共有しておらず、むしろFTAによる特恵的な利益の獲得のために行動するという考え方に基づいている。現実の世界において各国がFTAを締結する際には、必ずしも上記のように両極端な立場のみに立脚しているわけではなく、両者の中庸を模索しながら政策を運営していると考えられる。我が国が対外経済政策を実施していく際には、このような理論を踏まえながら、多角的自由化に資するようなEPA等の締結のあり方を模索していく必要があろう。

第4―3―5図 動態的効果の2つの経路
第4―3―6表 FTAが多角的自由化に与える影響
第4―3―7図 FTAの拡大による厚生の変化

NAFTA、EUといった既存の地域統合の効果に関する実証分析の結果について整理

2.地域統合の理論面・実証面からの分析

 FTA/EPA(注225)は地域統合の一形態であることから(注226)、その理論・実証面の分析は一般に地域統合の経済分析の枠組みを基礎として展開されてきている(注227)。本節では、1)地域統合の理論的枠組み、及び2)NAFTA、EUといった既存の地域統合の効果に関する実証分析の結果について整理することを目的としている。これまで、FTAの経済理論については、伝統的な関税撤廃効果(静態的効果)、生産性向上と資本蓄積による経済成長への影響(動態的効果)、あるいは政治経済的理論を中心に発展してきている。実証分析については、一般均衡モデルを用いたFTA締結のシミュレーションや、FTAの効果に関する事後評価が多数実施されている。なお、EPAには投資、競争、人の移動、環境、労働等といった新分野のルール(「WTOプラス」のルール)が含まれているため、その最終的な経済効果は以下で述べる伝統的なFTAの効果のみにとどまるものではないことに留意する必要がある。

戦略的なFTA締結

(2) 諸外国における戦略的なFTA締結の動き

 1990年代後半以降、二国間及び地域的なFTA締結の動きが世界的に活発化している。特に1999年以降締結されているFTAについては、1)締結国間の地理的な近接性の変化、2)協定の内容の深化、という2点において、従来型の「地域統合」とは性質を異にしており、こうした動きに対しては今後我が国も積極的かつ戦略的に対応していく必要がある。

1)締結国間の地理的な近接性の変化
 1957年のEEC設立(注219)以降、100件以上のFTAがWTOに通報されているが、同じ地域内の国同士によりFTAが締結されたケース(地域内FTA)が全体の約95%(107件) を占めていたのに対して、別の地域に属する国同士により締結されたケース(地域横断的FTA)は全体のわずか5.3%(6件)にとどまっていた(注220)(第4―3―1表 )。しかしながら1999年以降、異なる地域に属する国同士のFTA締結(米・ジョルダン、EU・メキシコ等)、及び異なる地域に属するFTA同士の更なる統合(EU・MERCOSUR)をめぐる動きが活発化している。
 未だWTOには通報されていないものの、1999年以降少なくとも12件の「地域横断的FTA」が1)調印、2)交渉開始、3)もしくは交渉開始合意に至っている(第4―3―2表 )。こうしたFTAは、地理的な近接性とは無関係に重要な貿易投資相手国と迅速にFTAを締結し、積極的に海外の資本・経営者・技術者を自国に誘致することで、国内経済を活性化させることを意図する地域貿易投資拠点を目指したFTAととらえることができる。例えば現在のところFTA締結に積極的な国としては、アジア諸国の中ではシンガポール、中米ではメキシコ、南米ではチリが挙げられるが、いずれの国も現在、米国、日本、EU、カナダ等経済規模の大きな国とのFTA締結に意欲的に取り組んでいる(第4―3―3表 )(注221)。また、従来EUは東欧諸国あるいは地中海沿岸諸国等、地理的に近接している国との経済関係を強化してきたが、EU・メキシコFTAの締結やチリと
MERCOSURとの間のFTA交渉開始に見られるように、最近は必ずしも地理的に近接していない国・地域とのFTA締結についても意欲的に取り組んでいる(第4―3―3表 )。
 近年のFTA締結の動きを「20世紀初頭におけるブロック経済化の再来」としてとらえる見方も存在する一方で、こうした地域横断的FTA締結の動きは、21世紀においては地域の枠を越えたFTA締結が更に進んでいく可能性が高いことを示唆するものである。

2)協定の内容の深化
 今日のFTAに見られる第二の特徴は、協定で扱われる分野が伝統的な域内関税・非関税障壁の撤廃のみならず、投資、競争、人の移動の円滑化、電子商取引、環境、労働関連制度の調和等、WTOにおいても十分にルール・メイキングが進んでいない新分野にまで拡大されていることである。すなわち、国内市場の競争環境整備及び二国間の貿易投資促進をより確実に実現するために、モノの分野の自由化に加えてカネ、ヒト、サービス、情報の移動を更に活発化させる上で必要な、各種項目が協定の中に柔軟に盛り込まれている(第4―3―4表 )。
 新分野のルールを含むFTAの締結がこのように活発化している背景としては、新分野の多国間ルールを自国主導で策定する上で、まずは利害関係の一致する二国間で機動的にルールを策定・普及することの有効性が認識され始めたことが挙げられる。こうしたFTAは、通商ルールのデファクト・スタンダード確立を目指したFTAととらえることができる。つまり新分野のルールについて、まずは二国間で構築していくことで、1)当該分野の制度構築に関するノウハウや経験を蓄積する、2)蓄積されたノウハウや経験、あるいは成功事例を多角的交渉の場にフィードバックし、合意形成の材料とする、3)最終的には自国発の多角的通商ルールを主導的に構築する、といった効果を企図している。例えば、基本電気通信分野の規制のあり方が定められたWTO/GATSの「参照文書」では、NAFTAにおける電気通信ルール(注222)と同様の規定(注223)がなされている。また米国・ジョルダンのFTAの中では、FTAとしては初めて環境、労働関連の規定が協定本文に盛り込まれているが、米国は今後こうした新分野のルールをチリ、シンガポールとのFTAにおいても適用していく旨を表明している(注224))。

第4―3―1表 WTOに通報されたFTAの件数
第4―3―2表 地域横断的FTA締結の動向
第4―3―3表 FTA締結に積極的な国の動向
第4―3―4表 各FTAに含まれている項目の比較

1.我が国の対外経済政策を取り巻く環境の変化 (1) WTOにおけるルール・メイキングの現状

1.我が国の対外経済政策を取り巻く環境の変化

 従来我が国は、WTOにおけるルール・メイキングを主軸に据えた対外経済政策を展開してきたが、今日、我が国の対外経済政策を取り巻く環境は著しい変化を遂げている。以下では、我が国が21世紀における対外経済政策を立案し、実施していく際に踏まえておくべき外部環境の変化について整理を行う。


(1) WTOにおけるルール・メイキングの現状

1)加盟国数の増加と交渉項目の広がり
 前節で考察したとおり、GATT設立の前年に開催された1947年の第1回関税交渉当時わずか23か国であったWTO加盟国数は、現在140か国(注216)にまで増加している(前掲第4―2―8図)。したがって、すべてのWTO加盟国の関心及び懸念に応え、各国の交渉参加インセンティブを確保するためには、十分に広範な交渉項目(アジェンダ)を設定することが不可欠である。一方、交渉に参加することの意義が加盟国にとって明確であった関税交渉中心の時代と比較して、アジェンダが多様化した今日のWTO 交渉においては、各アジェンダの意義を加盟国間で理解し共有する段階から多大な時間と労力を要するようになった。
 このように加盟国数が増加し、交渉項目が多様化した結果、WTOにおける機動的な交渉や合意形成は困難なものとなる傾向にある(注217)。例えば1999年のシアトル閣僚会議においては、労働、環境、投資、競争、アンチ・ダンピング等といった各アジェンダに関して、「交渉項目」、「交渉の方式」のみならず「交渉の必要性」についても各国の立場が収斂しなかったが、このことは次期ラウンド交渉の立上げに至らなかった主要な理由の1つでもあった。

2)自由化約束や制度構築の影響に関する予測可能性の低下
 伝統的な関税交渉においては、主に「リクエスト&オファー方式」と「フォーミュラ方式」という2つの交渉方式が用いられてきた。「リクエスト&オファー方式」とは、関税引下げを要求する分野のリストを二国間で交換し、結果的に両国の関税引下げ効果が同等になるよう調整しながら交渉を進める方式である(注218)。一方の「フォーミュラ方式」とは、あらかじめ定められた関税引下げ率や引下げ幅に従い、交渉参加国が一律あるいは経済の発展段階に応じて関税引下げを行う方式である。
 関税引下げが主要な交渉分野であった時代においては、上記いずれの交渉方式を用いても「関税引下げが最終的に各国の輸出入量にどのような影響を与えるか」ということを交渉の段階で各国政府が予測することが比較的容易であった。一方、今日の交渉アジェンダは国内規制の改革を伴うサービス分野の自由化、電子商取引のような新分野の制度構築、あるいは環境・労働といった社会政策的な分野にまで及んでおり、自由化約束や国内制度変更の影響について各国が交渉の段階で定量的に予測することが難しくなっている。このように、交渉を行うことの成果や副作用に関する予測可能性が低下しつつあることも、今日のWTO交渉における機動的な合意形成を難しくしている要因と言える。

3)自由化達成度と交渉力のパラドクス
 WTOにおける自由化の原則としては、各加盟国が互いに自由化の恩恵を与え、享受し合うという「互恵主義」の理念が掲げられている。つまり、交渉に当たっては相手国に対して一方的に自由化を要求するのではなく、自由化を要求するからには、その見返りとして、自国も相手国にとって魅力的な自由化を行うという考え方である。前述の「リクエスト&オファー」という交渉方式も、基本的には互恵主義の精神を具現化するための方式であった。
 しかしながら今日、リクエスト&オファー方式の副作用として、「自由化の進んでいる国ほど交渉力が低下する」といったパラドクスが生じている。つまり、関税引下げが相当程度進んでいる先進国が途上国に対して自由化を求める際に、途上国に対して与える見返り(先進国の更なる自由化の余地)がさほど多く残されていないという問題である。結果として、先進国の交渉力は相対的に低下しつつあり、WTO交渉自体の機動力も低下しつつある。

国内経済の閉塞状態からの早期脱却

第3節 対外経済政策の戦略的な展開に向けて


要 旨

1.我が国の対外経済政策を取り巻く環境の変化
 これまで我が国が享受してきた、1)一貫した原理原則に基づき、加盟国に広く適用される貿易ルール、2)中立的な紛争処理手続きといったWTOの機能は、いかなる自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)や経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)をもってしても代替することはできない。したがって、WTOは今後も我が国にとって最も重要なフォーラムである。一方、加盟国数の増加等によりWTOの機動性が低下傾向にある中で、EU、シンガポール、メキシコ、チリ等の諸外国による戦略的なFTAの締結が近年増加している。今日の FTAの特徴としては、1)地域における貿易投資拠点の獲得を目指した非近接国間の協定の増加、2)通商ルールのデファクト・スタンダード獲得を目指した協定の締結等が挙げられる。
2.地域統合の理論面・実証面からの分析
 FTAを含む地域統合の経済効果の理論的な枠組みは、1)関税の引下げが資源配分の効率性に影響を与える静態的効果と、2)生産性上昇や資本蓄積を通じて経済成長に影響を与える動態的効果の2つに分類される。また、FTAが多角的な貿易自由化を促進するのか、阻害するのかという観点から分析を行うツールとして、動学的時間経路の理論も発展しつつある。今後我が国は、こうした理論も踏まえつつ、多角的自由化を補完し得るEPA等の締結のあり方を模索していくことが必要である。
 なお、実証分析によれば、NAFTA締結後、1)域内国のGDPの堅調な成長、2)域内貿易比率の上昇、3)域内への直接投資の増加、4)域内国の失業率の趨勢的減少等が確認されている。EUについては、1)域内GDP成長率のトレンドが1992年市場統合後1.1%増加、2)域内への直接投資の増加、 3)域内競争の促進(価格差の減少)等が確認されている。
3.21世紀における対外経済政策の挑戦
 上記1.の環境変化を踏まえ、第1節で述べた国内経済の閉塞状態からの早期脱却を図るためには、我が国は引き続きWTOを主軸に据えながらも、対外経済政策を積極的に推進していく必要がある。一方、1)迅速なルール策定、2)多角的自由化のモメンタム維持、3)国際的な制度構築ノウハウの蓄積、 4)FTA/EPAを締結しないことによる不利益の回避、5)国内構造改革等の観点から、対外経済政策を推進する際には、多様なフォーラムを重層的に活用していく必要がある。
 対外経済政策に関する当面の政策課題としては、1)WTOの信頼性向上と次期ラウンドの立上げ、2)APEC及びASEAN+3等の地域的なフォーラムの活用、3)日シンガポール新時代経済連携協定等の二国間における取組み等が挙げられる。なお、こうした重層的な対外経済政策の効果を最大化するためには、1)WTO協定との整合性を確保しながら、2)加速化する諸外国の交渉スピードに劣らぬ迅速さで、3)各交渉フォーラムの間で有機的な連携を図る、といった条件を満たしていく必要がある。こうした条件を同時に満たすことは容易ではないが、我が国経済を早期に活性化させるためにも、果敢に挑戦していく必要がある。

経済規模と約束分野数の間に相関関係があることがわかる

コラム11

【サービス貿易交渉における新しい交渉方式案】

 サービス貿易については、GATS第19条において、WTO協定発効から5年以内に、漸進的に一層高い水準の自由化を達成するために引き続き交渉を開始すると定められていることを受けて、2000年から交渉がスタートしている。各国の置かれた経済環境、経済水準が異なるため、一層のサービス自由化のためには、こうした要素を考慮しつつ交渉を進めることが求められている。そこで、昨年12月にWTO事務局に対して提出した「サービス交渉に関する日本提案」の中では、加盟国の経済規模や経済成長を踏まえて、自由化を約束すべき分野の数を拡大する方式について各加盟国が合意を目指すことを検討している旨指摘した。
 第4―2―10図 は、各国の経済規模と約束分野数をプロットしたものである。この図から明らかなように、経済規模と約束分野数の間に相関関係があることがわかる。この関係をベースに、各国の約束数の拡大を図ることが考えられないか検討している。具体的には、例えば、経済規模と約束分野数の相関関係を前提にすると、加盟国の経済規模が拡大した場合には、約束数を増加させることが可能と言えないか、あるいは第4―2―10図 の回帰線は経済規模を考慮した加盟国の平均約束分野数を示しており、この回帰線の下に位置する国は、加盟国の平均からみて相対的に約束分野数が少ないとも考えられるので、こうした国が各々の市場の自由化に向けて一層の努力が必要と言えないか等について検討を進めている。これまでの関税交渉等においては、交渉相手国に対する要求リスト及び自国からの譲許リストを提出し、両国の譲歩の度合いがバランスするように二国間で交渉するというリクエスト・オファー方式よる交渉が行われてきた。この新しい交渉方式案は、これを補完するアプローチと考えている。

第4―2―10図 1人当たりGNPとサービス貿易交渉における約束分野数

2010年1月5日火曜日

GBDe:Global Business Dialogue on Electronic Commerce)には世界中のビジネス・リーダーが

コラム10

【GBDeの取組み】

 「電子商取引に関するグローバル・ビジネス・ダイアログ」(GBDe:Global Business Dialogue on Electronic Commerce)には世界中のビジネス・リーダーが集い、電子商取引の発展のため民間主導の国際的ルール・メイキングを目指して、自主的解決策の立案と実行、政府への政策提言を行っている。電子商取引に関するこうしたビジネス界のフォーラムはいくつかあるが、GBDeは、ベンダー、サービス・プロバイダー、コンテンツ事業者、金融等、多分野にわたる産業界のCEO(最高経営責任者)が自ら議論を行うことに特色があり、運営委員総数は63社(2001年 3月時点)である。
 GBDeは、1999年1月の運営委員会において正式に発足して以来、年1回の年次総会が開かれており、1999年のパリ、2000年のマイアミに続いて、本年9月には東京で開催が予定されている。昨年9月に行われた第2回総会には、政府関係者を含めて約400名が参加し、1)個人情報保護、2)法定外紛争処理(ADR)、3)トラスト・マーク、4)知的財産権、5)貿易と税制、6)アドボカシー(GBDeの提言機能の強化)、7)デジタル・ブリッジ (デジタル・デバイドの改善)、8)サイバー・セキュリティの各論点について議論、提言が行われた。
 本年度は下表の9つの議題について検討を行い、今後は、提言の具体化に重点が置かれることになる。具体的には、消費者信頼やデジタル・ブリッジについては、各種業界・消費者団体等との対話を通じてのベスト・プラクティスの確立、サイバー・セキュリティに関しては、民間部門の国際的な連携の一環として情報共有メカニズムの構築等が行われることになっている。また、提言の各国に与える影響をレビューするシステムの構築も実施する予定である。

第4―2―9表 2001年のワーキング・グループと地域別担当企業

各国の約束数の拡大

コラム11

【サービス貿易交渉における新しい交渉方式案】

 サービス貿易については、GATS第19条において、WTO協定発効から5年以内に、漸進的に一層高い水準の自由化を達成するために引き続き交渉を開始すると定められていることを受けて、2000年から交渉がスタートしている。各国の置かれた経済環境、経済水準が異なるため、一層のサービス自由化のためには、こうした要素を考慮しつつ交渉を進めることが求められている。そこで、昨年12月にWTO事務局に対して提出した「サービス交渉に関する日本提案」の中では、加盟国の経済規模や経済成長を踏まえて、自由化を約束すべき分野の数を拡大する方式について各加盟国が合意を目指すことを検討している旨指摘した。
 第4―2―10図 は、各国の経済規模と約束分野数をプロットしたものである。この図から明らかなように、経済規模と約束分野数の間に相関関係があることがわかる。この関係をベースに、各国の約束数の拡大を図ることが考えられないか検討している。具体的には、例えば、経済規模と約束分野数の相関関係を前提にすると、加盟国の経済規模が拡大した場合には、約束数を増加させることが可能と言えないか、あるいは第4―2―10図 の回帰線は経済規模を考慮した加盟国の平均約束分野数を示しており、この回帰線の下に位置する国は、加盟国の平均からみて相対的に約束分野数が少ないとも考えられるので、こうした国が各々の市場の自由化に向けて一層の努力が必要と言えないか等について検討を進めている。これまでの関税交渉等においては、交渉相手国に対する要求リスト及び自国からの譲許リストを提出し、両国の譲歩の度合いがバランスするように二国間で交渉するというリクエスト・オファー方式よる交渉が行われてきた。この新しい交渉方式案は、これを補完するアプローチと考えている。

第4―2―10図 1人当たりGNPとサービス貿易交渉における約束分野数

資本市場の主役は企業と投資家であるが、会計基準が統一されていなければ

(3) ルール・メイキングの迅速化と求められる民間のイニシアティブ

 グローバリゼーションの急速な進展の中で国境の意味が薄れ、企業が国を選ぶようになった今日、企業を引き付ける魅力ある事業環境の制度設計をめぐり競争が行われている。外資への規制を始めとする規制、企業法制、競争法制、標準といった、企業活動に直接関係する分野のルール・メイキングが対外経済政策を遂行していく上で重要な課題となっている。民間企業からも、今後の経済交渉における政府の役割として企業のグローバルな展開を支援するルール・メイキングを求める声が高まっている(第4―2―13図 )。
 また、その一方で、企業や民間団体が望ましい制度のあり方を政府に提案したり、あるいは自ら進んで民間ベースのルール・メイキングを行う取組みも活発化している。今後とも我が国経済が魅力ある市場として発展していくための制度設計を迅速に行い、国際的なルール・メイキングにも積極的に貢献していくためには、民間部門の持つ専門性や能力を尊重しつつ、「市場との対話」を重視したルール・メイキングを行っていく視点が欠かせない。

1)民間ベースで進む会計基準の国際的調和化
 国境を越えた資金調達・投資活動の拡大や、直接金融の進展に伴う投資家保護の要請を背景として、会計基準の国際的調和化が強く求められるようになった。資本市場の主役は企業と投資家であるが、会計基準が統一されていなければ、企業は会計基準ごとに財務諸表を作成するコストを免れない。また、投資家にとっては企業にリスクマネーを提供する際に複数の基準から比較・判断しなければならない。
 このような情勢を背景に、民間団体である国際会計基準委員会(IASC:International Accounting Standards Committee)を舞台に国際会計基準作成の作業が進められている。1973年に発足したIASCは、資本市場の国際化が進んだ1980年代後半以降、支持を急速に拡大させていった。特に1987年にスタートした「財務諸表の比較可能性」プロジェクトは、それまで容認してきた会計処理方法の多様性を制限し、財務諸表作成に使用する会計基準の統一化を目指すもので、IASCの大きな変化を意味した。また、同年、各国の監督当局の集まりである証券監督者国際機構(IOSCO:International Organization of Securities Commissions)がIASCの諮問グループに加わったことは、IASCの活動を強力に後押しすることになった。
 さらに1995年、IOSCOは、IASCが「コア・スタンダード」(国際的な資金調達を行う企業が使用する包括的な会計基準)を完成させれば、すべてのグローバルな証券市場における国境を越えた資金調達及び上場に対して国際会計基準を用いることを支持すると表明し、2000年5月、この支持を承認した。2000年に入り、欧州委員会やバーゼル銀行監督委員会が相次いで国際会計基準への支持を明確にしたことにより、その影響力は今後、更に高まるものと予想される。また、IASCは現在、市場ニーズに迅速に応えつつ、より一層質の高い、統一された会計基準を作成できる体制を整えるため、理事会メンバー 14名のうち12名を常勤とし、各国の国内会計基準設定機関との連携を強める等の組織改革も進めている(注203)。
 こうした会計基準の国際化に合わせるように、基準設定機能の向上を図る動きが各国に生まれている。従来、国際会計基準設定の動きをリードしてきた米国、イギリス、カナダ、オーストラリア等のアングロサクソン諸国の会計基準設定主体は、いずれも政府から独立し、専門性をもつ常勤のスタッフを備えた民間団体であり、市場の変化に柔軟に対応してきた。このうち、カナダやオーストラリアでは、基準設定主体の議長に常勤者をあてるという組織改革を最近行っており、更に国内の体制を強化している(注204)。これに対してドイツやフランスでは、これまで政府機関の下に非常設型の設定機関を置いていたが、ドイツでは国際会計基準をめぐる急速な事態の変化を受け、民間の常設機関を新たに設置した(注205)(第4―2―14表 )。
 我が国では、近年、証券流通市場における外国人投資家の比率が急速に高まっている(第4―2―15図 )。このような状況を受け、1996年11月の橋本総理大臣(当時)が提唱した「金融ビッグバン」による経済の基礎的インフラ整備の一環として、より透明性が高く、国際的に信頼される会計基準の整備が進められてきた(第4―2―16表 )。この結果、我が国の会計基準は欧米と比較しても遜色のないものとなっているが、現在、固定資産会計、企業結合会計のあり方等について、議論が行われている。
 既に第4章第1節で指摘したとおり、我が国が海外からの投資を受け入れ、構造改革を進めていくためには、透明かつ国際的にも通用する会計基準の整備が不可欠である。そうした会計制度の改革を進めていく上では、国内外の市場の変化に機敏に対応していくことが必要であり、会計に関する実務上の問題点をいち早く把握し、実態に即した解決を図っていくことが重要である。
 市場実態の変化とともに会計基準が変化を求められた例としては、時価会計の拡大を挙げることができる。1980年代以降、情報通信技術や金融工学の発達を背景に、資金取引額の増大やデリバティブといった金融商品の開発による市場の高度化が進み、これが投資家の時価情報ニーズを高めたのである。会計基準は技術革新や企業組織の変化に即応しながら、事業の実態を正確に表すための手法を絶え間なく開発していくことが求められる。
 こうした市場ニーズに柔軟に対応していくためには、現実のビジネスがどの様に変化しているかを把握できる者にルール・メイキングを委ねることが適切である。また、透明にして明確なルールを作るためには、特定の利害関係者の影響から離れた独立した機関であることが望ましい。そのため、常設の民間団体を新たに設け、この団体が会計基準の設定において主体的な役割を担うための検討が、我が国でも行なわれている(注206)。今後、IASCの大幅な組織改革が進み、ますます国際会計基準の影響が高まっていくことが予想される。こうした中で、会計実務者等の意見を尊重しつつ会計基準設定機能を高め、国際的な議論の場に積極的に意見を発信していくことが重要である(注207)。

2)ISO、IECを中心とした国際標準化活動
 製品の品質、性能、安全性、寸法、試験方法等に関する取決めを標準(注208)といい、そのうち国際的なものを国際標準という。国際標準には、公的な標準化機関において作成されるデジュール標準と、市場における企業間の競争によって決まるデファクト標準があり、このうち前者については民間団体であるISOや
IEC等を中心に標準の設定作業が行われている。
 WTOの下で成立したTBT協定が、原則として国際規格を国内規格策定の基礎として用いることを求めていることもあり、近年国際標準化活動の重要性はますます高まっている。しかしながら、これまでの我が国企業の国際標準化活動をみると、一部の例外を除いて概して消極的であった。例えば、第4―2―17図 は、ISOの委員会で規格策定の際に重要な役割を果たす幹事国業務の引受数を示すものである。我が国の業務引受数は、ここ数年増加しているものの依然他の先進諸国に比べて少ないのが現状である。
 また、ISOの国際規格審議に参加しても、我が国関係者は国際規格の審議をリードすることは少なく、我が国提案の規格案も少ない水準にとどまっている。例えば、品質管理システムに関する国際規格ISO9000シリーズが1987年に初めて策定された際のように、ルール・メイキングの段階で我が国企業の意向が十分に反映されなかった結果、規格に対する適応のためのコストを強いられたケースも生まれている(注209)。
 我が国の標準化活動の中心は政府が制定する日本工業規格(JIS)制度であるが、民間標準化活動への関与は必ずしも積極的ではなかった。しかし、現在では民間による国際標準化活動を促すため、企業活動の一環である国際標準化活動の中心は産業界が担い、政府は民間が標準化活動を進める基盤の整備を行うという役割分担を進めている(注210)。例えば、我が国におけるこれまでの標準化は、工業標準化法第11条による国主導の工業標準原案(JIS原案)の作成が主であったが、民間からの積極的な関与をより一層促すため、1997年に民間団体等からのJIS
原案の提案制度(同第12条)を簡素化する法改正を行った(注211)。
 一方、米国や欧州は「戦略的標準化」政策を打ち出し、自国の規格を国際規格とすることによる市場拡大を図るため、ISO/IECに積極的に関与する姿勢を見せている。これらの国では、民間団体を中心に標準策定が行われるケースも多く(第4―2―18表 )(注212)、ISOやIECにおける委員会についても幹事業務を個別企業が引き受ける等、民間部門の標準化活動が活発であり、政府がそれを側面から支援する体制を築いている(注213)。欧米の積極的な国際標準化活動の背景には、民間の標準化活動に関する重要性の認識と積極的な参画の伝統があり、我が国でも民間のイニシアティブによるルール・メイキングを促す基盤作りが重要である。
 また、政府が取り組まなければならない課題も重要性を増している。例えば、安全規格や環境に配慮した規格等、市場メカニズムを通じては必ずしも円滑な整備が進み難い公共財的性格を持った規格の作成が挙げられる。このほか、政府の役割として消費者保護、我が国からの積極的な国際規格提案を拡大するための研究開発、産業界への情報提供、人材育成等が挙げられる。
 さらに、ISO/IECにおける国際規格策定は一国一票の多数決方式で決定されることから、必ずしも優れた技術が国際規格になるとは限らない。我が国の優れた技術の国際標準化を進める上では、国際的な提携を進めていく視点が重要である。特に、我が国としては、標準化への取組みが遅れているアジア太平洋諸国との協力関係の構築に力を入れており、人材育成事業や、規格の共同開発事業を行っている。こうしたアジア太平洋諸国との連携を通じながら、戦略的な取組みの展開を行っているところである。
 2001年2月、日本工業標準調査会は、我が国内外における標準化活動のより積極的な展開を図るための指針として、標準化ニーズ及びその優先順位、さらには官民の役割分担を明確に示す「分野別の標準化・国際標準化戦略」の作成に着手した。

3)電子商取引のルール・メイキングをめぐる官民の役割
 電子商取引についても、迅速なルール・メイキングが求められている。今後、電子商取引市場が健全な発展を遂げていくためには、誰もが安心して取引に参加できる透明な市場ルールの整備が必要である。
 法整備について我が国では、第2章第1節で触れたように、2001年1月にIT基本法が施行されたほか、電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)を成立させる等、経済のIT化に向けた取組みを本格的に始動させている。経済産業省でも産業構造審議会の下に設けられた情報経済部会、及び消費経済部会において新たな制度基盤の確立に向けた議論が重ねられているところである。
 一方で電子商取引は技術革新の速い分野であるから、事前に規制を加えることは民間部門の自由な活動領域を狭めてしまうおそれがある。民間からの生産的なイニシアティブを妨げるような政府の規制的介入は極力避けるべきで、民間の活力を損なわないよう十分な配慮が必要である。
 例えば電子署名法制定の際には、変化の激しいITの分野で特定の技術のみに法的効果を認めることは、技術の進歩の阻害要因となるのではないかという懸念があったことから、技術的な中立性に配慮した立法が行われた。具体的には、現在使われている電子署名は、公開鍵方式による電子署名が大半であるが、新たな暗号技術、電子署名技術の発展の利用可能性を考え、法律上、電子署名を一定の技術、方式に限定しないアプローチをとっている(注214)。また、同法は、ユーザーによる自由な認証サービスの選択を可能とする観点から、民間団体による認証業務も可能としている(注215)。
 民間団体がイニシアティブをとり、自主ルールを作成している例も存在する。例えば、消費者が安心してインターネット通販を利用できるよう、消費者保護策に関し適切な取組みを行っている企業にオンライン上のマークを与えるオンライン・トラスト・マークについては、日本通信販売協会と日本商工会議所が 2000年6月より運営を開始している。このトラスト・マーク制度については、米国のBBB(ベター・ビジネス・ビューロー)、イギリスのトラストUK 等、海外でも同様のシステムが存在することから、現在国際的な連携と協力のあり方についても検討課題に上っている。
 具体的には、各国の二国間ベースで進められている連携の動きに加えて、GBDe(コラム10参照)でも統一されたトラスト・マークの策定について検討されている。ただし、運営の方法・手順等については今後の課題となっており、議論が深められていくことが期待される。

第4―2―13図 民間企業が期待する今後の経済交渉における政府の役割
第4―2―14表 各国の会計基準設定主体
第4―2―15図 日本の株式流通市場における外国人投資家比率の推移
第4―2―16表 国際会計基準策定をめぐる状況と、最近の我が国の会計制度改革の動向
第4―2―17図 ISO幹事国(TC・SC)業務引受数の推移
第4―2―18表 各国の国家標準化機関と政府との関係について

途上国の理解を高めるためのセミナーを開催

(2) 途上国の能力向上

 国際的な制度構築を進めていく上では、途上国に対して、新たな交渉に参加するインセンティブを与えるとともに、合意されたルールの履行を確保するための体制整備を行うことが重要である。能力向上の役割としては、1)既存ルールの実施能力の向上と、2)新たな分野におけるルール・メイキングを行うに当たり必要な能力の向上の大きく2つの側面があると考えられる。

1)既存ルールの実施能力の向上
 1980年代以降、途上国も含めたルール・メイキングが活発化し、各国の実施能力が多様化してきた。一方で、環境保全への対応に関するもの等、ルール構築のみならず、その後の実効性の確保が重要となる分野が増加している。こうした分野においては、ルール・メイキングの実効性を確保する上でも、参加国の実施能力の向上を行うことが不可欠である。
 既存ルールの実施能力の向上が重要になった背景の1つは、ウルグァイ・ラウンドの結果、途上国のWTO協定遵守義務が飛躍的に拡大したことが挙げられる。例えば、GATSやTRIPS協定、TRIM
協定といった協定を実施するためには、専門的な能力を有するスタッフが必要であるが、途上国の場合には人材不足等の問題を抱えている。また、WTOの紛争解決手続きの利用実態を見ると、途上国の被協議要請件数は協議要請件数よりも多く、その6割以上が米国・EU等先進国によるものとなっている(第4―2―12図 )。途上国にとっては、こうした紛争解決手続きに参加していくことも1つの大きな負担となってきた。また、1999年末に、開発途上国に認められていた貿易投資関連措置の撤廃のための経過期間が満了したものの、延長を要請する国も多い等、既存協定の実施は多くの問題を抱えている。
 多くの途上国は実施の困難なものに関しては、ウルグァイ・ラウンドの結果得られた協定で定められた約束の一部の水準を引き下げるという対応策を主張している。しかし、こうした途上国の主張はウルグァイ・ラウンド交渉の結果の改正を必要とするものが多いため、むしろ、途上国のWTO協定実施能力を高める支援を実施することで、ルールの実効性を確保していくことが重要と考えられる。
 こうした観点から、我が国は、2000年6月のAPEC貿易大臣会合の場において、途上国の支援ニーズに応じた、戦略的なキャパシティ・ビルディング支援を行うべきとの提案を行った。その後、APECにおける9つの途上国・地域(注201)において実施したアンケート調査及び実地調査を通じてニーズを分析し、支援プログラム案を策定した。上記調査の結果、具体的には、1)WTO協定実施のための知識やノウハウの充実、2)国内法制の整備、3)パソコン等の機材等関連インフラの整備、4)交渉技術の取得、5)WTOにおける紛争処理能力の取得、 6)中国、台湾及びヴィエトナムに対するWTO加盟の支援、の6種を支援対象と位置づけた。中でも、人材育成プロジェクトに対する支援ニーズが高いとの調査結果が得られた(注202)。今後、同調査結果を基に、APEC域内先進国や関連国際機関の協力により支援プログラムを実施していく予定である。

2)新分野に関する途上国の理解増進と能力向上
 新分野におけるルール・メイキングについても、1)ウルグァイ・ラウンドの結果著しく負担が増大していること、2)協定実施が必ずしも自国の経済発展とは結びつかないと評価する多くの途上国は、これまで以上の負担を懸念している。こうした途上国に対しては、前述のEUが提案しているプルリ方式で臨むという考え方もある。しかしながら、可能な限り多数の国の間でルール・メイキングを行うことが国際社会にとっての利益であることを勘案すると、これら途上国に対して新たなルールの必要性に関して理解を促す必要がある。さらに、新分野におけるルール・メイキングを円滑に行うためにも、国内制度の整備等の支援が必要である。例えば、途上国の中には競争法制が未整備の国も多いという現状(前掲4―2―4図)にかんがみれば、競争に関するルール・メイキングを行っていく上で基礎となる、国内法制の整備とその円滑な運用を支援することが重要である。
 我が国では、WTO新ラウンドにおける新たなルール・メイキングとして重要なテーマと位置づけられる投資と競争について、途上国が受け入れ易い提案を行うと同時に、途上国の理解を高めるためのセミナーを開催している。APECの枠組みでは、2000年8月にペルーで競争セミナーを、同年11月にはフィリピンで投資・競争セミナーを実施した。また、アジア欧州会合(ASEM:Asia-Europe Meeting)の枠組みでは、2000年9月にオーストリアで投資・競争セミナーを開催した。二国間での取組みとしては、2000年11月にインドネシアで競争法ワークショップを開催した。2001年1月には、マレイシア政府主催でWTO新ラウンド立ち上げに向けた相互理解のための「教育セッション」が開催された。日中韓ASEAN(ASEAN+3)の各国が参加し、アンチ・ダンピング、投資、競争といったテーマについて議論が行われたが、我が国からは各テーマの重要性と日本提案の概要を説明するとともに、各テーマが途上国の利益になることについて、各国の理解が深まるよう努力を行っている。
 以上、WTOに関するキャパシティ・ビルディングを中心に述べてきた。しかしながら、能力向上はWTO協定以外の分野においても同様に重要である。新たな分野におけるルール・メイキングを進めていくのに際して、より多数の参加を求め、かつそのルールの実効性を確保していくため、国際社会のパートナーである途上国の理解の増進と能力の向上を図ることが、ますます重要になっている。

第4―2―12図 WTO紛争解決手続の国別利用実態

ハーモナイゼーションのメニュー及び態様

3.21世紀型ルール・メイキングへ向けて

 グローバリゼーションが急速に進展した1980年代以降、国際的ルール・メイキングは水際措置から国内措置へ、貿易分野から非貿易分野へとその対象範囲を広げつつある。また一方で、国際社会におけるプレーヤーの数が増加し、各分野で利害関係が複雑に絡みあった状態を呈し、ハーモナイゼーションはますます困難になっている。しかしながら、グローバル化が進む国際社会においては、こうした困難を克服しながら、21世紀型のルール・メイキングに取り組んでいくことが必要である。


(1) 多様性の容認

 グローバリゼーションの進展に伴い、途上国を含めたプレーヤーの多様化、国際社会の多様化、対象分野の多様化が進み、ルール・メイキングがより複雑なものとなってきた。例えば、WTO参加国は現在140か国にのぼり、うち約8割が途上国である。途上国の中でも後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)は先進国と同数の29か国あり、さらに、現在ヴィエトナムやカンボディア等6か国のLDCが加盟申請中である(注194)(第4―2―8図 )。このように参加者や対象分野の多様化が進展する中では、これらの多様性を容認しながらルール・メイキングを進めていかなければならない。

1) 参加者の多様化と交渉方式の多様化
 所得水準、文化等様々に異なる背景を持つ国家が、それぞれがインセンティブを持ちながらルール・メイキングに参加し、コンセンサスを形成していくことは、大きな困難を伴う作業である。例えば、前章で見たように環境、労働基準等の議論はその顕著な例である。貿易と環境の問題に関しては、環境重視派から自由貿易擁護派まで、社会的、経済的多様性を背景とした様々な立場が混在し、議論の対立が生じている。こうした中で、途上国も含めたルール・メイキングへのインセンティブを確保する方法を検討することが重要となっている。このための方法として、例えば、WTO新ラウンドに関するプルリ方式、WTOサービス貿易交渉に関する日本提案の中で指摘された新しい交渉方式案、地域及び二国間協定の活用といった方法が考えられる。
 まず、プルリ方式は、WTO新ラウンド交渉に関してEUが非公式に提案しているものである。具体的には、投資ルール及び競争ルールの策定交渉に関して、途上国のWTO新ラウンド交渉へのインセンティブを高めるために、最終的に協定への署名をするか否かについて選択できる余地を残すという提案である(注195)。この枠組みの利点としては、1)ルール・メイキングの目標達成レベルを下げる必要がないこと、2)途上国がそれぞれの国の能力に応じて参加・不参加を選ぶことができること、が挙げられる。一方、デメリットとしては、多くの途上国が不参加を選択した場合に、ルール策定の意味が半減してしまうおそれがあること、国際社会の二層化をもたらすおそれがあることが指摘されている。しかしながら、交渉の最終段階まで参加・不参加の自由を保証することは、新分野におけるルール・メイキングに対する途上国の参加インセンティブを確保するという観点からは、有効な方法の1つであると考えられる。
 次に、WTOサービス貿易交渉における新しい交渉方式案とは、これまでの伝統的な二国間交渉の積み重ねによるサービス貿易交渉を補完する方法として検討を行っているものである。具体的には、サービス分野における一層高い水準の自由化を達成するために、経済規模や経済成長の程度に応じて約束すべき分野の数を定め、それに基づいて各国の約束数を拡大させるというものである(コラム11参照)。経済規模の経済発展の度合いも異なる参加国の間で、その多様性を認めつつ、サービス分野における交渉を進めていく有効な選択肢の1つになると考えられる。
 第三に、地域及び二国間協定の活用であるが、これは参加者が増加し、多様化している多国間の場ではなく、限られた参加者による交渉フォーラムでルール・メイキングを行うという考え方である。この点については第3節において詳述する。
 このように、国際社会の多様化に対し、多様化を容認した上でルール・メイキングを進めていくための様々な交渉方式が提案され、同時に、様々なルール・メイキングの場が活用されている。ある1つの対象分野においても、多国間、地域、二国間、といった様々な場でのルール・メイキングを行い、それらを複合的・補完的に用いることにより、より広い範囲におけるルール・メイキングを迅速に進めて行くことが可能となる。

2)対象分野の拡大とアプローチの多様化
 国際的なルール・メイキングの対象分野は、1980年代以降のGATT/WTO体制に代表されるように、国境における管理・調整から相互の国内社会制度の調整へと移ってきた。新たな国際秩序の構築が求められる分野が多様化してきている。こうした対象分野の多様化の中で、ハーモナイゼーションの方法自体も多様化している。各国の制度のハーモナイゼーションは、必ずしも制度の同一化、収束(「統一化アプローチ」)を意味するものではない。もともと、音楽のハーモニーは、個々の楽器の音色や旋律は多様である。制度のハーモナイゼーションもこれと同様に、制度の多様性を前提とし、多様性の利点を活かしつつ、不協和音を起こさぬよう各国制度を調整すること(「調整アプローチ」)も意味している(注196)。これらの多様なアプローチを整理したものが第4―2―11表 である。以下各アプローチについて述べることとする。

 (統一化アプローチと調整アプローチ)
 まず、「統一化アプローチ」は、国際的に基準化された制度へ同一化・収束させるものである。共通の基準・制度を採用することにより、各国が異なる基準・制度を採用する場合に比べてより多くの利便性を享受することができる。例えば、国境を越えたビジネスにおいては、相手国企業と同一のルールの下で競争することを可能にする。しかし、同時にこれまでと異なる基準・制度を導入するコストは非常に大きくなると考えられる。
 一方で、各国の制度上の相違を前提に制度の調整を行う「調整アプローチ」は、「統一化アプローチ」に比べ、各国の制度の変更が小さいため、調整コストが小さくて済むというメリットがある。以下では、調整アプローチを、「相互承認」、「規制の制限」、「ミニマム設定」、「結果の義務の設定」及び「ピア・プレッシャー」という5つの態様に分けて考察する。

 (調整アプローチの5態様)
 まず、「相互承認」は、自国の適合性評価機関が相手国の適合性評価基準・手続きで評価された結果を自国内で評価したものとして互いに受け入れあうものである。もともとは、EU市場統合の過程で、域内における基準・認証制度の統合のために用いられた手法であるが、EUはこの方式を域外国との間でも活用している。これまで、1996年にオーストラリア及びニュー・ジーランドと、1997年に米国及びカナダと相互承認協定(MRA:Mutual Recognition Agreement)を締結した。2000年には日本と協定案文に仮署名する等、積極的に展開している(注197)。また、WTOの貿易の技術的障害に関する協定(TBT協定:Agreement on Technical Barriers to Trade)においては、適合性評価手続きの結果の相互承認を奨励している。こうした相互承認制度により、グローバルに活動する企業のコスト削減、市場アクセス改善が高まっている。
 「規制の制限」は、各国間で政府の介入を一定のレベルに制限することで、競争環境の整備を進めるためのルールの調整を図る方法である。例えば、GATS 第16条の市場アクセス条項では、留保を付けずに約束をした分野において、政府が採るべきでない措置の類型として、サービスの供給者数の制限や雇用者数の制限、外資制限等の6種類の措置を限定列挙している。
 「ミニマム設定」は、競争環境の整備あるいは安全性等の政策目的を確保するために、各国の国内制度と重複・矛盾しない形での最低限のレベルを設定する。 BIS規制や「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定:Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)」、EUを中心とした二国間での競争法協力協定等がその例として挙げられる。
 結果の義務のみを課し、その達成手段は各国の裁量とする「結果の義務の設定」には、バーゼル条約や気候変動枠組条約、生物多様性条約等、近年の地球環境保護に関する多数国間条約の多くが該当する(注198)。地球環境保護の問題に対応するには、環境損害・危険の防止と救済のための措置を整備するのみならず、その基準設定・監視・情報交換・予防措置等、規制も強化しなくてはならない。しかし、統一のルールを導入しようとすると、その案文作成、採択、発効、改正の要件及び手続きが厳格で時間がかかる。そればかりか、その適用も当事者に限られる等、急速に変化し進展する国際問題に適切に対応できない。こうした問題に対処するために、このアプローチでは、当該分野での義務に関する一般原則を定めるにとどめる。そして、機動性を維持しつつ義務の実施を確保するために、具体的内容や各国の分担に関しては別個の議定書や附属書で定め、定期的に再検討するという仕組みである。
 この結果の義務を更に緩くしたものが、「ピア・プレッシャー」である。これは、締約国は種々の措置を採る義務を負うが、その措置の具体的な中身は各国に任され、その措置に関する定期的な報告を他国との会合等で検討するというものである。いわば情報の公開を通じて自律的な改善を促す仕組みである。各国に課される義務は調整アプローチの中で最も緩やかではあるが、何らかの共通の目的が存在する分野において、有効な調整方法と言える。具体的には、先進国・途上国間の合意により締結された国際協定において、初めて貿易上の利益と環境保護、労働基準を関連づける仕組みが設けられたNAFTAの環境・労働に関する補完協定が例として挙げられる。ここでは、環境、労働いずれについても3国間で共通の基準を設けるのではなく、加盟国が国内法に従って高い環境保護水準・労働基準を確保し、その向上に向けて継続的に努力することが規定されている。例えば、環境に関する補完協定では、各国に環境法制に関する情報の公開を義務づけると同時に、環境協力委員会を設置した。この委員会は、3国の閣僚及び非政府代表等から構成される。当事国が環境法制の有効な履行確保を怠っているとの申立てを受けて事実審査を行い、当事国に対して履行確保の欠如について指摘を行うことができる。指摘を受けた国は、法的に改善義務を負うわけではないが、情報の公開を通じて事実上の改善のプレッシャーを受けることとなる(注199)。
 これらの様々なアプローチの選択により、国境を越えて相互に影響を与える問題の多くは解決できると考えられる(注200)。具体的には、対象分野に応じ、利害得失を考えながら、最適なアプローチを選択していくべきであろう。

第4―2―8図 GATT/WTO参加国数と途上国の割合の推移
第4―2―11表 ハーモナイゼーションのメニュー及び態様

電子商取引のルール・メイキング

(3) 電子商取引

 1960年代に米国で軍事目的で開発されたインターネットは、1980年代末から商用利用が始まり、現在、企業同士や企業と消費者がネットを介して、ときには国境を越えて直接結びつく電子商取引が急激に拡大しつつある。我が国でも、先行する米国には遅れをとってはいるものの、2000年のBtoB市場が約22兆円、BtoC市場が8,240億円と推計され、今後飛躍的に伸びていくことが予想されている(第4―2―6図 )。こうしたインターネットの発達とともに、電子商取引をめぐる国際的なルール・メイキングのあり方が、現在国際的な議論の的となっている。

1)国境を越える電子商取引の拡大
 情報通信技術と電子商取引の急激な発展により、国境を越えたサイバー空間が生み出されつつある。ネット上では家庭にいながらクリックひとつで海外との取引が可能であり、国境を超えた取引をより身近なものとしたのである。電子商取引で先行する代表的なネット企業の場合、1997年の段階で既に総取引額の 20~30%程度が海外との取引となっている(第4―2―7表 )。
 電子商取引による国境を越えた取引の拡大は、企業や消費者に今までになかった新しい可能性を切り拓くものであるが、しかしながら一方で、法制度や取引慣行等の面で従来は想定されなかった様々な問題を生じさせている。具体的には、商取引のルール、電子署名、プライバシー保護、知的財産権の保護、契約法、関税の扱い、消費者保護、有害コンテンツの規制等の問題である。これらの問題については、様々なフォーラムにおいてルール・メイキングが模索されている。以下、代表的なものとして、契約法、電子送信への関税賦課、個人情報保護、消費者保護の問題について概観する。

2)電子商取引をめぐるルール・メイキング状況
 (契約法)
 電子的手段を用いた取引においては、従来の契約法が想定していなかった局面が予想される。そのため、契約の過程において、電子的手段を用いることにより生じる問題について規定した電子商取引モデル法が、1996年、国連国際取引法委員会(UNCITRAL:United Nations Commission on International Trade Law)において採択された。同モデル法には、1)電子的な情報は書面に記載されている情報と同様の効力を持つこと、2)電子署名に署名・捺印等と同様の効力を認めること等が規定され、各国のルール策定の際のモデルとなることが期待されている。

 (電子送信への関税賦課)
 1998年5月、WTO閣僚会議において、電子送信については、技術上の困難性に加え、電子商取引の発展の観点から、1999年末に開かれる閣僚会議まで、関税を賦課しないというモラトリアムの合意がなされた。その後、1999年のWTOシアトル閣僚会議が決裂したため、現在関税の扱いについては新しい合意が得られないままモラトリアムが続いている。昨年の九州・沖縄サミットで合意された「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」においても、「次回の WTO閣僚会議における見直しを条件として、電子送信に関税を賦課しないという慣行を継続する」とされている。

 (個人情報保護)
 次に、消費者がネット上で行う購買活動は、事業者に個人情報の蓄積をもたらすことになるため、個人情報の保護のあり方についても関心が高まりつつある。国際的なルール・メイキングに関連して、この問題について一石を投じたのは、1998年10月に発効した個人情報保護に関するEU指令(注189)である。同指令は、十分なレベルの個人情報保護を行っていないEU域外の第三国に対して、EU域内の個人情報の移転を禁ずることを定めたもので、これにより域外の事業者がEU市場から締め出される懸念が生まれた。
 これに対して米国では、法規制の導入による個人情報保護を提案するEUとは異なり、民間による自主規制を尊重する立場をとっており、法規制のあり方についても個別法によるセグメント方式を採用している。このため、米国政府はEUに働きかけ、1999年4月に個人情報の取り扱いについての保護基準を導入することで合意し、その具体的指針となるセーフハーバー協定を結んだ(注190)。
 我が国では、1988年に行政機関個人情報保護法(「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」)が制定されている。しかし、これは国の行政機関の保有する個人データに関する法律であり、民間部門については個別法のみしか存在しないことから、現在政府では、高度情報通信社会推進本部の下で個人情報の保護に関する基本法の法制化に向けた準備作業を進めている(注191)。

 (消費者保護)
 消費者保護のあり方については、OECDにおいて検討作業が進められ、1999年12月に「電子商取引における消費者保護ガイドライン」としてまとめられている。同ガイドラインは、1)透明かつ効果的な消費者保護、2)公正な事業、広告及びマーケティング慣行、3)オンライン情報開示、4)確認プロセス、5)支払い、6)紛争処理と救済、7)個人情報保護、8)消費者への情報提供等の各側面について一般的な指針を示している。ただし、ガイドライン自体には法的拘束力があるわけではなく、民間の自主的ルールを尊重する米国と、一定の規制導入についても検討しているEUとの間に意見の開きが残されている。今後の各国の議論の行方が注目される。

3)多様なフォーラムにおける検討
 こうした電子商取引のルール・メイキングをめぐる国際的な議論については、WTO及びOECD等の国際機関をはじめ、二国間協議、さらには電子商取引の発展を促すため世界の民間企業のフォーラムである「電子商取引に関するグローバル・ビジネス・ダイアログ」(GBDe:Global Business Dialogue on Electronic Commerce)(注192)等、民間団体においても活発な議論が交わされている。また、これらの国際的な協議の場において、我が国が積極的にルールの形成に貢献していく視点が重要である。この観点から、我が国は、2000年10月、WTO電子商取引に関する提案を発表した(注193)。本提案では、企業と消費者双方の利益の確保、自由化とルール整備、先進国と途上国のバランス確保を念頭に置きつつ、電子商取引を取り巻く環境において今後検討が必要な論点が提示されており、電子商取引のルール整備に関する議論を喚起する役割を果たしている。

第4―2―6図 電子商取引市場規模の推移予測
第4―2―7表 代表的なネット企業の国際取引状況(1997年)

競争政策分野における国際的ルールの整備は不可欠

(2) 競争政策分野

 従来、競争政策は、公正で自由な競争促進を通じて国内の消費者利益を確保することを目的として実施されてきた。しかし、企業活動が国際化し、市場が一体化するに伴い、各国が個別の競争政策による対応だけではなく、競争政策に関して、各国の連携も含めた国際的なルール・メイキングを行う必要性が高まっている。

1)活発化する企業の国際展開と競争政策
 企業の国際的事業展開の活発化に伴い、複数国にまたがる企業行為や外国における行為でありながら自国市場の競争状態に悪影響をもたらすケースが増加してきた。例えば、米国では1998年から、マイクロソフト社がオペレーション・システム分野における独占的な地位をアプリケーション・ソフト分野で濫用しているとして独占禁止法訴訟が行われている。同社の製品は、全世界で販売されていることから、米国内にとどまらず各国に影響を与えることは当然である。このため、EUも2000年8月、同社に対する正式審査手続きを開始した(注181)。また、1997年のボーイング社及びマグダネル・ダグラス社の米国企業同士の合併についても、航空機産業の公正な競争が阻害されるとして、EUは、この合併に対してEU独禁法違反との見解を表明し、調査を行った(注182)。
 しかしながら、自国競争法の積極的な域外適用については、重大な政治的摩擦を引き起こす可能性があるばかりでなく、実務的にも執行の実効性の確保が困難であるという問題がある。したがって、こうした企業による競争上不当な行為を的確に排除することは、一国の競争当局のみでは困難な場合があり、国際的な協力も含めたルール・メイキングが必要となってきた(注183)。さらに、途上国の中には競争法制が未整備である国も多いが、近年、途上国や市場経済移行国・地域においても国内競争法を整備する動きが活発化してきている(第4―2―4表 )。これは、途上国をも含めて、国際的に競争政策の重要性に対する認識が高まっていることの1つの表れであると考えられる。

2)競争政策のハーモナイゼーション(注184)と規律の強化
 競争政策に関するルール・メイキングは、大きく2つに分けることができる。1つは各国の競争法・競争政策のハーモナイゼーションであり、もう1つは競争法の規律強化である。以下、それぞれについて具体例を示しつつ考察する。
 まず、実体面でのルールのハーモナイゼーションとしては、合併に関する制度が例として挙げられる。市場がグローバル化する中で、国際寡占といった問題が生じる等、大規模の合併や提携は関係国の市場に多面的な影響を持つようになってきた。前述のボーイング社及びマグダネル・ダグラス社の合併について、当初、米国はこれを自国の独占禁止法に違反しないとし、EUはEU独禁法違反とした。このような例に見られるように、企業間の国際的な合併に関しては、情報交換等により関係国間の緊密な協力が不可欠であると同時に、ルールのハーモナイゼーションも必要となってきた。何らかの共通規制基準が関係国内で形成されなければ、グローバル市場において活動を行う企業の事業は非常に不安定な状況に置かれることになる。
 また、国際的なビジネス展開を円滑にするために、手続き面でのハーモナイゼーションも求められる。現在の制度では複数国への届け出が必要であり、かつ届け出の要件は届け出先の国により異なる。したがって、国際的なM&Aが活発化する中では(前掲第1―2―9図)、合併の届け出制度のハーモナイゼーションが行われなければ、企業の負担が大きくなり、企業の円滑な国際展開を阻害することにもなりかねない。
 次に、規律の強化の例としては、カルテルの取締り強化が挙げられる。例えば、輸出カルテルは国際的なルール・メイキングの主要な対象分野の1つと考えられる。しかしながら、各国の競争法は各国国内の消費者保護を目的としており、輸出カルテルは自国の市場には影響を与えないことから、競争法の適用除外ないしは不適用とする国が多い。国際的な貿易及び競争促進の観点からは、こうした分野における規律強化も重要な課題である。
 また、国際カルテルの取締りの強化も指摘されている。OECD(2000)では、国際的な黒鉛電極カルテルにより黒鉛電極の価格が約50%も引き上げられていることや、クエン酸に関する国際カルテルによりカルテル期間中に約30%以上の価格引き上げが生じていることが報告されている(第4―2―5表 )。価格の低下や省コスト化、更なる経済利益の獲得のためには、各国がサービス交渉を通じて自由化を進めるだけではなく、民間企業の反競争的行為を取り締まるための規律を強化すべきであると考えられる。

3)多国間でのハーモナイゼーションの必要性
 競争法のハーモナイゼーションに関して、1950年代から、国際貿易機関(ITO:International Trade Organization)や国連等マルチの場で実体法のハーモナイゼーションが検討されてきたものの各国の合意を得ることができず、ほとんどの交渉が失敗に終わった(注185)。一方、情報交換等の独占禁止法協力を中心とする二国間での取組みについては、1976年の米独協定を始めとし米豪、米加、独仏、米EU間で協定が結ばれる等、1970年代以降活発化し、一定の効果を上げているところであり、我が国でも1999年に日米独禁協力協定が締結された。しかし、二国間協定は現在のところ締結数は少なく(注186)、今後こうした動きを拡大させていく必要がある。また、内容に関しても相手国による執行についても捜査開始を依頼すること等に限定されている状況であり、今後更に協定内容を深化させていくことが有意義である。
 他方、こうした二国間協定の動きに加え、近年マルチの場でのハーモナイゼーションを進めようとする動きも出てきた。ウルグァイ・ラウンド以降、GATT
の場での独禁法ハーモナイゼーションの国際交渉が提唱され、今後の重要な国際的課題として登場している。1996年のシンガポールWTO閣僚会議の結果、貿易と競争政策の相互作用についての作業部会が設置され、競争法・競争政策の国際的ハーモナイゼーションの可能性についても議論されている(注187)。
 しかしながら、競争法・競争政策について多国間でのルール・メイキングを行うことについて、先進国と一部の途上国との間には意見の対立が見られる。先進国側は、前述の投資と同様、途上国への輸出や直接投資についての自由化の一環として、途上国における競争政策の整備を求めている。一方、途上国は、直接投資受入れが順調な経済発展のために不可欠なものとして、競争法・競争政策の重要性は認識している。しかしながら、自国の発展のためにはある程度の競争制限が必要と考える一部の途上国は、国際的なルール・メイキングが自国企業の競争力や雇用に及ぼす影響を危惧し、時期尚早との立場をとっている。
 このように、競争法分野の国際ルール・メイキングを途上国も含めた形で進めていくことは、困難な調整を伴うことが予想される(注188)。しかしながら、グローバル経済における企業の事業活動を円滑化し、国際カルテル等の弊害を除去するためには競争政策分野における国際的ルールの整備は不可欠である。投資分野と並んで今後の国際的ルール・メイキングの重要課題であると言えよう。

第4―2―4表 途上国及び市場経済移行国・地域における1990年代以降の競争法の制定状況
第4―2―5表 代表的な国際カルテルと具体的コスト

投資分野が21世紀初頭におけるルール・メイキングの重要分野

2.新たな分野におけるルール・メイキング

(1) 投資分野

 1990年代以降、世界での対外直接投資が急増している。この伸びは、同時期の貿易の伸びに比して著しく大きい(注174)。こうした対外直接投資のもたらす便益は、投資国・受入国いずれにとっても大きいことが認識されている。しかしながら、直接投資に関する多国間での包括的なルールは存在しておらず、ルール・メイキングの要請が高まっている。

1)急増する直接投資と投資環境整備の要請
 対外直接投資は、多国籍企業の国境を越えた事業展開等を通じて、経済のグローバル化及び国際経済の持続的成長に貢献している。とりわけ、主要な投資受入国である途上国において、直接投資は、先進技術や経営ノウハウの移転や競争や経済の効率化の促進を通じて、経済成長、雇用、生活水準等の向上に貢献してきた。しかしながら、モノに関しては、GATT/WTOを中心とした累次の関税引下げ交渉を通じて、相当程度貿易自由化が進展しているのに対して、直接投資に関しては、依然として多くの参入障壁が存在しているのが現状である。特に、途上国においては、多くの分野で直接投資の制限が存在している。我が国企業からも法制度の不透明性、外資比率規制等の投資阻害措置といった問題点が指摘されている(注175)。したがって、今後更に直接投資が活発に行われるためには、投資受入国の投資関連制度の透明性や予見可能性が確保できるよう、ルール・メイキングによる投資環境整備が必要である。

2)活発化する二国間投資協定
 こうした背景から、特に1990年代以降、世界では途上国・先進国間の二国間を中心に、二国間投資協定(BIT:Bilateral Investment Treaty)が活発に締結されてきた(第4―2―3図 )。我が国がこれまでに締結、発効した二国間投資協定は、7件と他の先進国に比べると非常に少ない。しかし、近年、我が国も、二国間投資協定と多数国間の投資ルールは相互に補完するものとして二国間投資協定も重要視し、積極的に取り組んでいる。1998年以降、韓国、サウディ・アラビア、メキシコ、インドネシア、ヴィエトナム等と交渉を行っている。
 これまで世界的に、二国間投資協定は、多くの場合、国家による外国投資家財産の収用についての補償、利益や補償金等の送金の自由といった投資後の投資家の事業活動及び投資財産の保護が主な内容となっていた。投資の自由化(パフォーマンス要求(注176)の禁止等)や投資活動の円滑化(透明性等)については十分に盛り込まれていなかった(注177)。近年は、二国間投資協定において、こうした投資自由化に関する規定も含めたより規律の高い規定を設けるものも増加している。我が国も、投資予見性の向上による二国間の投資促進につながるよう、より規律の高い協定を目指して交渉しており、投資の自由化や投資活動の円滑化についても盛り込むよう協議している。
 二国間投資協定においては、多数国間での包括的な投資ルールの策定に比べ、高い規律が実現されやすいという利点がある。したがって、多数国間での投資ルールの策定を補完する観点からも、今後もより多くの国と高い規律を有する協定の締結に向けて取り組んでいくことが必要となっている。

3)MAI交渉の失敗と包括的ルール策定の必要性
 多数国間でのルール・メイキングの試みとしては、1995年以降、OECDにおいて投資の自由化及び保護に関し、包括的かつ法的拘束力のある多数国間投資協定(MAI:Multilateral Agreement on Investment)の策定交渉を行ったことが挙げられる(注178)。これは、WTOにおける投資ルールの策定に先立ってOECDの場で検討が始められたものである。しかし、内国民待遇等の義務に対する「言語及び文化の多様性」保護の例外事項の扱いや、環境・労働等への配慮といった論点について意見が対立し、調整は難航した。また、多国籍企業のみの権利を保護するものとして一部のNGO等からの懸念も寄せられた。その後、フランスが交渉の席から離脱したことにより、交渉は事実上中断したままの状態となっている。
 MAIにおける取組み以外の投資に関する国際ルールとしては、前節で述べたように、OECDの資本移動自由化コードや、WTO協定における TRIM(Trade-Related Investment Measures)協定やGATSがある。しかしながら、いずれも対象範囲・参加国・効力等の面で限定的なものであり、現在のところ多国間での包括的な投資ルールは存在しない(注179)。また、仮に今後投資ルールのネットワークを二国間投資協定で世界に広げるためには、現在締結している約2千件の二国間投資協定を2万件程度まで増やす必要がある(注180)。したがって、多数国間の投資ルールを策定するメリットは非常に大きいと考えられる。
 多国間の包括的な投資ルール策定に対しては、現在も一部の途上国に根強い抵抗感が存在する。これら諸国は、外国直接投資は自国の経済発展に欠かせないと認識しつつも、投資政策を自由化した場合に、多国籍企業がもたらす可能性のある弊害や、一律的な内国民待遇やパフォーマンス要求の禁止により自国の産業政策が制約されることを懸念していると考えられる。しかしながら、第1章における東アジアの発展の分析においても示されているとおり、今後の世界経済の発展における投資の役割は極めて重要である。先進国のみならず途上国も含め、投資保護と投資自由化に関して包括的な投資ルールを策定することの意義は大きく、我が国やEUは、WTO次期ラウンドの交渉項目としても積極的に提案を行っている。新ラウンドの交渉対象となるか否かは、今後の交渉に委ねられるが、投資分野が21世紀初頭におけるルール・メイキングの重要分野であることは論を待たないと言えよう。

第4―2―3図 二国間投資協定の締結状況

国際的なルール・メイキングの要請

(3) 1980年代以降の新たな動き~国境調整から国内制度調整へ

 GATT/IMF体制の下での貿易自由化が加速化する中で、1980年代以降、急速にグローバリゼーションが進展した。国内制度をめぐる問題を争点とした紛争が多発する等、各国の制度間の摩擦が生じてきた。例えば、非関税障壁の問題においても輸入割当のような国境における明示的なものから、規格、認証制度、商慣行等、国内社会の問題にまで及ぶようになり、社会制度そのものが国際摩擦の争点となる時代となった(注167)。
 こうした1980年代以降の急速なグローバリゼーションに伴う摩擦の解決は、それまでの国境における管理・調整による解決といった方法から、相互の国内社会の調整、国際秩序の実効性確保といった方法へと広がりを見せ、新たな秩序の構築が必要となってきた。

1)GATT/WTOにおける規律分野の拡大
 貿易分野における国際的ルール・メイキングの中心にあったGATTでは、1986年から開始されたウルグァイ・ラウンドにおいて、東京ラウンドに引き続いて関税・非関税障壁等の撤廃、貿易自由化を一層進展させた。一方、従来GATTの規律の対象ではなかったサービス、知的財産権にまで規律対象を拡大するという新たな方向性が示された。これにより、1995年に、GATT体制を発展、強化させる形で発足したWTO体制は、モノの貿易を規律する体制から、より広く経済分野を対象とする枠組みに生まれ変わった(注168)。さらに、2001年以降、新たにスタートすることが期待されている新ラウンドでは、アンチ・ダンピング等の既存ルールの強化のみならず、これまでWTOの対象分野となっていなかった、投資、競争、環境といった新しい分野でのルール・メイキングも交渉項目(アジェンダ)の候補として挙げられている。

2)資本市場に関する国内制度調整
 20世紀後半に進展した金融取引のグローバル化、資本市場の一体化に伴い、金融制度に関する各国の制度のハーモナイゼーションも進展した。他国の銀行で発生した信用不安であっても、一体化した国際資本市場を通じて自国の銀行にも影響を及ぼす可能性が高まっている。こうした金融サービスの安定的提供を維持する観点から銀行の健全性を確保し、また、国境を越える国際市場における競争条件をそろえるため、1988年に国際決済銀行において「国際銀行の自己資本比率に関する統一基準(BIS規制)(注169)」が採択された。伝統的に国内規制が強い金融分野について、こうした国際的なルールが導入されたのは初めてのことであり、画期的な出来事であった(注170)。
 日本においては、同年、BIS規制を日本の銀行に適用することが発表され、1998年には、このルールに基づき金融機関に対し経営の是正を指導する「早期是正措置(注171)」が導入された。8%の自己資本比率の維持が難しくなった銀行が海外から撤退する等、この国際的なルールの導入が日本の銀行経営と信用秩序に対して、多大な影響を及ぼしたことは記憶に新しい。

3)新たな問題に対する国内制度調整
 貿易自由化を中心としたグローバリゼーションの進展の中で、水際措置では解決できない新たな分野におけるルール・メイキングの必要性も高まった。第3章第3節において見たように、1980年代以降、オゾン層の破壊や地球温暖化等、国境を越えた地球規模の環境問題への国際的関心の高まりを背景として、地球規模の環境問題に対処するため、各国国内の制度を調整する国際ルールの整備が進んだ。オゾン層保護に関するウィーン条約、更に具体的義務内容を定めたモントリオール議定書、有害廃棄物の越境移動を規制し途上国の環境汚染を防ぐためのバーゼル条約、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ持続可能な経済開発の達成を目指す気候変動枠組条約等、多国間での環境保護の枠組み条約が次々に締結された(前掲第3―3―3表)(注172)。さらに、1987年のチェルノブイリ原子力発電所の事故以降、原子力平和利用の安全性確保の重要性の認識が高まり、原子力施設の安全性向上に関する各国の取組みを奨励する条約(インセンティブ条約(注173))として、1996年に原子力安全条約が発効される等、新たに生じてきた地球規模での問題に対し、様々な形で国内制度を調整し、実効性を確保させるルール・メイキングが行われるようになった。
 このように、国際的なルール・メイキングの要請は、近年ますます相互の相手国国内社会の調整、国際秩序の実効性確保が必要とされる分野へと広がりを見せ、新たな制度・秩序の構築が必要とされてきている。これまでの国境調整措置については、輸入手続き、認証基準等、更なる透明化及び調和化を進めるためのルールが強化されている。その一方で、国境を越えて急速に変化し進展する国際問題に対応するため、枠組み条約という形式やいわゆるインセンティブ条約といった性格の様々な国際ルール・メイキングが、様々なフォーラムにおいて行われるようになってきた(第4―2―2表 )。
 このように、グローバリゼーションが急速に進展した1980年代以降、国際的ルール・メイキングは水際措置から国内措置へ、貿易分野から非貿易分野へとその対象範囲を広げつつある。こうした中で、各国既存ルールの調整のみならず、投資活動の活発化やITを活用した電子商取引の増加への対応等、新たなルール・メイキングが必要とされている分野もある。また、環境や労働者保護といった分野においても、新たなルール・メイキングが求められるようになってきた。

第4―2―2表 代表的な国際的ルール・メイキングの進展