2010年1月5日火曜日

HDIは寿命、教育及び生活水準の3つを要素

コラム5

【コラム5 途上国の生活環境の改善-人間開発指数(HDI)】

 国家の豊かさを測る指標としては所得水準は必ずしも十分なものではない。特に貧困に悩む国々の実状をとらえるためには、教育水準や平均寿命といった社会生活環境をも考慮することが重要である。このような観点から、国連開発計画(UNDP:United Nations Development Programme)は、所得水準以外の社会生活条件をも考慮した人間開発指数(HDI:Human Development Index)を開発している。
 HDIは寿命、教育及び生活水準の3つを要素とし、それぞれ「出生時平均余命」、「成人識字率及び初・中・高等教育の就学率」、「1人当たり実質 GDP(PPPドル)」によってそれぞれの達成度を0から1までの間で数値化し、単純平均して求められる複合指数である。UNDP(2000)は、HDI が0.8以上であれば人間開発指数上位国、0.5未満であれば人間開発指数低位国と分類した上で、35か国を人間開発指数低位国としている。
 このHDIを用いて途上国の生活水準を見てみると、所得水準データのみから見た姿とは違う姿が浮かび上がる。この点に関してCrafts(2000)が興味深い研究を行っている。その研究によると、1950年から1995年にかけて、すべての途上国が相対的かつ絶対的に先進国とのHDI格差を縮小させており、所得水準で測った場合の南北格差の姿とは異なった姿を映し出している(第3-2-17表)。
 しかしながら、HDI格差は縮小しているものの、途上国の貧困問題は依然として世界にとって大きな課題である。途上国の貧困問題を考えるに当たっては、このように所得水準には必ずしも反映されない社会生活環境の観点も含め現状及び問題を多面的に把握した上で取り組んでいくことが必要である。

第3―2―17表 世界各地域のHDIの推移

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