2010年1月6日水曜日

(4) 二国間における取組み

(4) 二国間における取組み

1)日本・シンガポール新時代経済連携協定
 1999年12月8日、日本の小渕総理大臣(当時)とシンガポールのゴー・チョクトン首相との間の首脳会談において、両国の産学官の専門家により日本・シンガポール間のFTAについて共同研究を開始することが合意された。この合意に基づき、2000年3月から半年にわたり計5回の合同検討会合が開催され、同年9月に最終報告書が公表された(第4―3―27表 )。その検討会報告書では、関税撤廃といった伝統的なFTAの範疇にとどまらず、投資、競争、貿易手続の電子化、電子商取引関連制度調和、人の移動の円滑化等、新分野を含む幅広い協力の必要性をうたっていることから、日本・シンガポール間の協定を「新時代経済連携協定:The Japan-Singapore Economic Partnership Agreement(JSEPA)」と称している(注275)(第4―3―28表 )。この報告書を受け、2000年10月22日に行われた首脳会談では、協定締結のための正式な交渉を2001年1月に開始し、遅くとも2001年末までに終了すべきことが決定された。この首脳会談の決定を受け、既に第1回交渉が1月31日から2月1日にかけて行われており、4月には第2回交渉が予定されている(注276)。

2)その他の国との二国間関係強化(注277)
 (メキシコ)
 1998年11月にセディージョ大統領(当時)が訪日した際に、日墨間での自由貿易協定及び投資協定の検討について提案がなされたことを受け、自由貿易協定について日本貿易振興会とメキシコ商工振興省(現経済省)が共同研究を行い、2000年4月に共同で報告書(注278)を発表した。さらに、2001年1月に平沼経済産業大臣がメキシコを訪問した際に、デルベス経済大臣からFTAの早期交渉開始に関する提案があり、当面両国間で認識を深めていくため、広範な分野を対象とする協定について研究会を開始することについて両国の政府部内においてそれぞれ検討がなされている。投資協定については、既に1999年より交渉が開始されており、両国で鋭意協議中である。
 なお、メキシコはNAFTAに加え、2000年7月にEUとの間でもFTAを発効させており、メキシコに進出及び輸出を行っている日本企業の競争条件は厳しくなりつつある。このような中、経済団体連合会は現在交渉中の投資協定が成功裏に締結され、FTAについても早期に締結されることを希望する旨を発表している(注279)。

 (韓国)
 1998年11月、第1回日韓閣僚懇談会の場において、日韓FTA構想について議論されたことを受け、同年12月より両国の日本貿易振興会アジア経済研究所と韓国対外経済政策研究院(KIEP)による「21世紀日韓経済関係研究会」が発足、日韓FTAに関する共同研究が開始された。2000年5月に共同コミュニケにより発表された両国報告書によると、いずれも日韓FTAの実現にはいくつかの懸念材料も伴うという前提を置きつつも、同FTAは関税撤廃効果のみならず、外資誘致、競争促進、生産性向上といった諸効果、あるいは日韓両国の対世界貿易収支の改善(黒字増)をもたらすといった各種メリットが示された。また2000年9月に金大中大統領が来日した際に行われた首脳会談においては、「日韓FTAビジネス・フォーラム」の設置について合意がなされた。経済界を中心に構成されている同フォーラムは、今後、日韓FTAに関する両国内の世論を喚起することを企図している。
 また、韓国との間においても1999年から二国間投資協定の交渉が開始されており、透明性・実効性が確保された高い規律の協定を目指して現在両国間で交渉が行われている。

 (チリ)
 チリは既にカナダ、メキシコ等とFTAを締結しているほか、米国やEU、EFTA、韓国とも交渉を開始している等、地域の枠を越えた二国間のFTAを積極的に推進している。我が国についても、1999年11月にバルデス外務大臣が来日した際、日本・チリFTA締結に関する研究開始の検討について提案を行っており、これを受けて日本貿易振興会とチリ外務省が共同研究を行うこととなった。本研究会は2000年5月から開始されており、2001年3月に報告書が発表される予定となっている(注280)。

 (オーストラリア)
 2000年10月、平沼通商産業大臣(当時)とヴェイル貿易大臣との間において、日豪がアジア太平洋地域における重要なパートナーであることを確認、両国において民間で調査・検討を行い、新時代における両国経済関係強化のための方策を幅広く議論することに合意した。この合意に基づき、日豪それぞれが民間の研究会を設置して、調査・検討を行っており、2001年3月を目途にその成果を取りまとめる予定となっている。

第4―3―27表 日本・シンガポール新時代経済連携協定関連の動向
第4―3―28表 日本・シンガポール共同検討会合報告書の提言
第4―3―29表 我が国の二国間関係強化へ向けた取組み

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