2010年2月20日土曜日

抗アルツハイマー病作用機序が解明!?   エストロゲン  作用機序が報告

アルツハイマー病

 エストロゲンの抗アルツハイマー病作用機序が解明!?
 アルツハイマー病の進行を初期段階で抑制

 エストロゲンでβアミロイド蛋白が低下






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〔ニューヨーク〕ロックフェラー大学(ニューヨーク)分子細胞神経科学研究所のHuaxi Xu助教授らは,『Nature Medicine』(4:447-451)に「生理的濃度のエストロゲンが,アルツハイマー病の発症に関与する神経毒となる蛋白の産生を低下させる」と報告した。

 今回の所見は,今後の臨床的裏づけか必要だが,エストロゲンの神経保護作用を示す他の知見を支持するもので,アルツハイマー病予防に向けた重要な新規治療法に結ひ付く可能性もある。

 

βアミロイド蛋白の産生を抑制

 今回の研究を行ったのは,ロックフェラー大学、コーネル大学(ニューヨーク),ジョンズ・ホプキンス大学(メリーランド州ボルティモア),ニューヨーク大学(ニューヨーク)およびNathan Kline研究所(ニューヨーク州オレンジバーグ)ならびにスウェーデンおよびフランスからの研究者で構成する研究グループで,同グループは神経芽腫細胞ならびにラット,マウスおよびヒトの胚大脳皮質ニユーロンの初代培養によるβアミロイドペプチドの産生に対する,l7βエストラジオールの影響を研究した。老人斑におけるβアミロイド蛋白の蓄積は,アルツハイマー病の典型的な病理的特性の1つとされている。さらに,他の研究が閉経後にエストロゲン補充療法を実施すると,アルツハイマー病を予防したり,発症を遅らせたりすることを明らかにした。

 βアミロイド蛋白は老人斑を形成するが,同助教授らは,実際に神経芽腫細胞ならびにげっ歯類およびヒトの新皮質由来の初代培養細胞からのβアミロイド蛋白の遊離量を,l7β-エストラジオールが若しく低下させることを発見した。

 同助教授は「今回の知見は,エストロゲンがげっ歯類からヒトまで,あらゆる種類のニューロンからのβアミロイド蛋白の産生を低下させることを示したものだ」と発表。「さらに,われわれの研究は、エストロゲンがアミロイド沈着または老人斑形成の前から,すなわち疾患のきわめて早い段階から,アミロイド濃度を低下させることを明らかにした。また,治療の観点から考えると,アルツハイマー病の早期で進行を食い止めることは、疾患が進行してから阻止するよりもはるかに重要だ」と述べた。

 

今後の確認試験が必要

 アルツハイマー病研究センターの臨床所長も務めるジョンズ・ホプキンス大学神経学のClaudia Kawas准教授は「大変優れた研究であると同時に,きわめて刺激的な研究だ」と評価。「今回の知見は,エストロゲンとアルツハイマー病に強い関連性のある特異的な異常,すなわちアミロイド斑とを結び付けた。しかし,今回の知見が,直ちに臨床的な推奨治療法として実現する態勢にあるとは考えられない」としている。

 ケースウエスタンリザーブ大学(オハイオ州クリーブランド)のアルツハイマーセンターを創設し所長を務める,同大学神経学のPeter J Whitehouse教授は「今回のメカニズムが、ヒトにおける作用のメカニズムであると証明したことにはならない。ほかにも,エストロゲンが神経細胞を健全な状態に維持しうるメカニズムがある。」と述べた。 


(参考文献:平成10年6月11日号 Medical Tribune)


 

私の感想
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 今までに数多くのアルツハイマー病への効果が報告されていたエストロゲンですが、作用機序が報告されたのは初めてですね。すなわち理論的にもエストロゲンが有効(まだ実験レベルの話ではあるが)ということが証明されたわけであり、有望な治療方法となるかもしれませんね。

 


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